2025年07月03日

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回転寿司業界初、7月9日からゴディバ監修スイーツがスシローに登場

試食会に登壇するスシローカフェ部パティシエの月輪ひかり氏(左)と作田潤一氏(右)、ゴディバ ジャパンエグゼクティブシェフ・ショコラティエ/パティシエのヤニック・シュヴォロー氏(中央)

あきんどスシローは7月9日から、ベルギーのチョコレートブランド「ゴディバ」が監修したスイーツを数量限定で販売する。7月2日には「ゴディバ監修スイーツ試食会」を開いた。商品開発を行ったスシローカフェ部の専属パティシエ月輪ひかり氏と作田潤一氏、ゴディバ ジャパンエグゼクティブシェフ・ショコラティエ/パティシエのヤニック・シュヴォロー氏が登壇。「至福のひととき」をテーマにした新商品4品を紹介した。回転寿司業界でゴディバ監修のスイーツは初となる。

同社は大阪市阿倍野区の寿司屋「鯛すし」から誕生し、40年以上も続く。2017年には「スシローカフェ部」を立ち上げ、寿司だけでなくスイーツにもこだわってきた。一流ホテルやレストランで経験を積んだ専属パティシエが所属し、「おいしく、わくわく、ぞくぞく。」をコンセプトに、毎月、新作を生み出している。定番に加え年間50種類以上の新作スイーツが登場している。

「チョコレートと言えばゴディバの名が挙がるほど世界的に有名で、プレミアム感があり、これまで何度もコラボレーションをしたいと思っていたため、実現でき本当に嬉しい」とスシローカフェ部パティシエの月輪ひかり氏は語る。同パティシエの作田潤一氏は「ゴディバとのコラボレーションは客からの要望も多かった」と言い、「コンセプトの『おいしく、わくわく、ぞくぞく。』が自らも体現できる新しい挑戦だった」と振り返る。

「コラボレーションが決定する前からいくつか商品のアイデアを考えていた。ベリー系や抹茶を使ったものなどの構想もあり、たくさんの試作、試食を行った」(作田氏)。「プレミアム感があり、リッチで本格的なスイーツを提供したいと思い、毎日お腹がいっぱいになるまで試作、試食を行った」(月輪氏)。試行錯誤を繰り返した期間は半年にも及ぶ。すべては「早く皆さんに食べてもらいたい」(月輪氏)という思いからだ。

回転寿司メニューでベルギーのプレミアムチョコレートブランドの味を再現する難しさについて、ゴディバ ジャパンエグゼクティブシェフ・ショコラティエ/パティシエのヤニック・シュヴォロー氏は「コラボレーションは難しくもあるが、月輪氏も作田氏もゴディバのことをよく理解してくれており、当初から問題はないと思った」。作田氏は「濃厚でプレミアム感のあるチョコレートをスシローの価格帯でどう表現するかに苦戦した。チョコレートに合うフレーバーを探したり、様々な食材を試したり、チョコレート類の配合や食感の微調整を繰り返しながら開発した」と秘話を明かした。

ゴディバ監修の本格スイーツは4種類ある。7月9日から販売されるのは3種類。1つは45万食が完売次第終了の「オランジェショコラナッツパフェ」。ビターチョコチップを練り込んだチョコアイス、キャラメルアイス、チョコムースに、オレンジとチョコのソース、ピーカンナッツ、クレープのような生地を焼き、細かく砕いたフィアンティーヌといくつもの素材が重なり、多彩な食感が楽しく、どこから味わってもリッチで濃厚。本格志向のパフェに仕上がっている。

アイスのひんやり感が最後まで続く「オランジェショコラナッツパフェ」

2つ目は「オレンジ香るショコラムースタルト」で、27万食が完売次第終了となる。カカオのクッキー生地とショコラムース、濃厚なガナッシュが重なり、後からオレンジコンフィチュールが香り、爽やかな風味が口に広がる。

ふんわりと滑らかなショコラムース、ガナッシュの濃厚さ、オレンジコンフィチュールの爽やかさが絶妙

3つ目は、同店の定番スイーツで一番人気の「カタラーナアイスブリュレ」をゴディバが監修した「濃香ショコラカタラーナ」。90万食が完売次第終了となる。ハイカカオチョコレートを使用し、濃厚さを表現。表面のパリパリとした食感を楽しめるよう、注文が入ってからキャラメリゼをするというこだわりようだ。

キャラメリゼされた表面は、食感がアクセントになっている。後からほろ苦さが口に広がり、じっくりと味わいたい

4つ目は、8月6日から販売される、39万食が完売次第終了の「ショコラブリュレアチーズケーキ」。これまで何度も同店で販売されてきた「ブリュレアチーズケーキ」をチョコレートフレーバーで仕上げた一品だ。レアチーズムースにはチョコレートを練り込み、ガトーショコラ風のしっとりとした食感のスポンジと重ね、重厚感のある味わいが特徴。オレンジの果皮を使ったソースがほろ苦さと爽やかさを添えている。

濃厚なチョコレートの風味を楽しんだ最後にオレンジが香る「ショコラブリュレアチーズケーキ」。食べる直前に表面をブリュレして食感も演出

作田氏も月輪氏も「濃厚でリッチなゴディバの味わいを、スシローの寿司を食べた後でも楽しんで頂くための工夫に全力で取り組んだ」。例えば、「冷たさや食感、酸味、甘さといったスイーツで表現できるあらゆることを追求した」(月輪氏)。そのため、「納得のいくスイーツに仕上がった。スシローが本気でスイーツづくりに取り組んでいることをたくさんの方に知ってもらいたい。スシローにスイーツを食べに来たという方が増えると嬉しい」(月輪氏)。

実はヤニック氏は「日本で暮らすようになり、よく寿司屋に足を運んでいるが、最後に食事を締めくくるデザートがないことに不満があり、特に寿司の価値に見合うようなデザートがないことにパティシエとして残念に思っていた」。そんなタイミングでの監修だが「今回のコラボレーションで夢が形になり嬉しく思う」と顔をほころばせる。

「寿司とチョコレートは一見かけ離れているように思えるかもしれないが、実は共通点もある。1つは季節性を大切にすること、もう1つは味を通してストーリーを語る哲学を持っていること。そのため今回は特別なコラボレーションになった」。ヤニック氏は続けて、「クリエイティビティとイノベーションというのは伝統とサプライズが交錯するところで常に生まれてくると思っている。2人との共同作業を通じ、同じ職人精神を持つものとして、共闘し追求できたと考えている。今回は単なるメニュー開発を超えた美食の冒険だと思う。寿司は日本に深く根付いた文化であり、チョコレートはベルギー人に愛されている食べ物。この2つの文化が融合して素晴らしい新しい商品ができた」と語る。

「ゴディバ監修スイーツを目的に来店した方には全種類を、寿司を目的に来店した方にはどれか1つでも味わってほしい。絶対に後悔はさせません」という作田氏の言葉は、ヤニック氏の言葉に呼応するかのようだ。

(北野智子)