西川、身体状態に合わせて最適なメニューを提案する革新的クッション
自律神経センサー搭載のクッション「コンディシート(ココロミエール)」
西川は、大阪・関西万博のサステナブルフードコート「大阪のれんめぐり~食と祭 EXPO~」で、計測した生体情報を解析し、来場者の身体状態に応じて食事メニューを提案する新たなサービスを提供している。大阪のれんめぐり内の予約席の椅子に、新しく開発した自律神経センサー搭載の座圧分散クッション「コンディシート(ココロミエール)」を設置。そこに30秒間座るだけで、その日のコンディションを解析して、席に隣接した機器に体調が表示され、その中のQRコードを読むとフードコート内の最適なメニューが提案される。万博終了後には適正な場所へのリース展開を予定している。また、同社は同万博の運営参加サプライヤーとしてEXPOホールなど約2400席に長時間座っても疲れにくいクッションを提供している。
大阪・関西万博「大阪のれんめぐり」予約席に設置
「コンディシート」は、同社が開発した自律神経センサーを搭載している座圧分散クッション。安静な状態で30秒間座るだけの簡易計測で、内蔵したセンサーが自律神経バランスを含む様々な生体情報を収集し、気づかない体調の変化を把握する。副交感神経活動度と交換神経活動度の高低で、「バリバリ、ゆったり、ドキドキ、ぐったり」という4つのタイプに分類され、表示される。この結果に基づき、その日の心と身体のコンディションに最適なフードコート内のメニューを提案する。いわば一人一人の内なる声に寄り添って食体験を提供する新たなサービスだ。
「バリバリ」「ゆったり」「ドキドキ」「ぐったり」の4つのタイプに分類して、体調を表示
「良質な眠り」を追求してきた同社は、睡眠研究で培ってきた技術の活用を健康な生活に欠かせない食事の分野まで広げ、自律神経バランスと食の相関関係に着目して、5年の歳月をかけて独自の特許技術を開発した。コンディシートは、言葉にできない身体の声を科学的に読み取り、一人一人に最適な体験を提供する「スリープテックⓇ技術」だ。
社員食堂や百貨店などへのリース展開を想定
大阪のれんめぐりは、「ロボットとヒトが協働する未来の飲食店モデルを体感できる」エリア。コンディシートは、このコンセプトに応じて、将来の実用化を視野に入れて提供する。フードコート内には予約席エリアがあり、このうち16席に設置した。例えば、疲労度が高く自律神経のバランスが乱れている場合は消化に負担の少ない食事を、十分に休息が取れている状態であれば活力を高める食事をレコメンドするなど、その時点の体調に合わせた「食の処方箋」を提供する。
大阪・関西万博のサステナブルフードコート「大阪のれんめぐり」の予約席の一部に設置(16席)
大阪・関西万博終了後は、企業の社員食堂、百貨店の物産展や食品売場などを想定して、リース展開を予定している。導入企業では、従業員の健康状態に応じた食事提案によって、生産性向上や健康経営、エンゲージメント強化などへの効果が期待されている。実証実験では最適な食事を摂取した従業員の午後の業務効率が平均12%超向上した結果も得られているという。
同社はコンディシートを皮切りに、睡眠データを活用した新たな健康管理の可能性を広げていこうとしている。睡眠への探求心が、寝具提供の枠を超え、一人一人の心と身体のウェルビーイングを総合的にサポートする取り組みへと進展してきている。
長時間着席に快適な「エアーポータブル」クッション提供
もう1つ、大阪・関西万博では、長時間座っても疲れにくい「スリープテックⓇクッション」を提供している。EXPOホール「シャインハット」(約1900席)とEXPOナショナルデーホール「レイガーデン」(約500席)の合計約2400席に設置した。
このクッションは、日本睡眠科学研究所の監修のもと、西川の「エアー」マットレスの点で支える高機能ウレタンフォームによって体圧を分散する技術を応用して開発した。エアーポータブルは、アスリートの遠征やビジネスパーソンの出張などの宿泊施設で快適な眠りを提供する持ち運び用。クッションにすることで、長時間座っていても圧迫せず、デスクワークやドライブなど様々なシーンで活用できる。今回、大阪・関西万博向けの限定デザインを製作した。
EXPOホール「シャインハット」内の席に設置されたクッション
また、一部の席には理想の座り姿勢をラクに維持できる美姿勢クッション「Keeps(キープス)」のオリジナルモデルも設置している。同クッションは枕の開発で培った圧力バランスの独自理論「三点支持理論」を応用した技術「トライアングル サポート システムⓇ」を採用。これにより骨ポジションを安定させ、坐骨、仙骨、大腿部の3点で姿勢と圧力バランスを整える。理想的な姿勢になる位置に骨盤がくるように坐骨ポケットを設計し、ここに坐骨をはめこむことで前滑りを防ぎ、仙骨ポイントで支えることで、理想的な姿勢を保ち、クッションとの接触面全体で体圧を分散する。さらにウイング型の背面が骨盤全体をやさしく包み、骨盤の立った理想の座り姿勢をキープできるという。
一部の席には美姿勢サポートクッションを提供
このほか、大阪・関西万博のスタッフが使用する危機管理局と総務局には、腰が凝りやすい人向けの「ドッツ」シリーズのマットレスと枕を提供している。体圧を分散し快適な寝心地を実現することで、スタッフの疲労回復をサポートする。
(羽根浩之)