2024年05月02日

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-百幅百態、皆、当今の名手たり- 特別展「1909 現代名家百幅画会」

1世紀以上も前に高島屋が開き、かつてない展覧会と人気を集めた百幅画会を再現!

特別展示「1909 現代名家百幅画会」
■会期:2023年11月29日(水)~12月12日(火)
■会場:日本橋高島屋S.C.本館8階催会場
■入場時間:10時30分~19時(19時30分閉場)※最終日は17時30分まで(18時閉場)
■入場料:無料

1909(明治42)年の冬、高島屋は京都・大阪・東京の各店舗において「現代名家百幅画会」を開催しました。
これは、当時の著名画家100人に新作画(絹本尺五〈幅1尺5寸=約45㎝〉に統一)を依頼し、寄せられた100作を同じ表装で100幅の掛軸に仕立て、一堂に展観した髙島屋初の展覧会でした。東西の100名家の新作を揃え、さらに“番外”として竹内栖鳳≪アレ夕立に≫(第3回文展出品)を会場内に特別陳列し、大いに話題を集めました。
百幅画会の成功は、1911(同44)年の髙島屋美術部(美術品の展示・販売部門)の創設に結びつきました。

百幅画会出品100作の所在は長らく定かではありませんでしたが、近年ようやく4幅の存在が明らかになりました。
そのうち高島屋史料館所蔵の3幅をご紹介すると共に、100枚のパネルで「現代名家百幅画会」を再現、1世紀以上も前に高島屋が開き、かつてない展覧会と人気を集めた百幅画会をお楽しみいただけます。

  • 「現代名家百幅画会」開催

現代名家百幅会 京都店会場陳列風景 ※画像提供:東京大学総合図書館

第1回文展(日本初の官設展「文部省美術展覧会」)が開催されたのは、1907(明治40)年10月。以後、文展は毎年東京上野で開催され、文展出品作は毎回新聞・雑誌などでたちまち話題となりました。国内に美術を鑑賞し愛好する人々が増え、世間の美術への関心は急速に高まっていました。
そこで、高島屋でも新作画の展覧会を企画。1909(同42)年11月から12月にかけて、高島屋各店(京都本店・大阪心斎橋店・東京丸の内店:それぞれ当時)で「現代名家百幅画会」を開催しました。

  • 竹内栖鳳《アレ夕立に》を特別出陳

竹内栖鳳《アレ夕立に》1909年 絹本着彩

百幅画会の出品目録には、高島屋の依頼に応じた画家100名(京都49名・東京43名・大阪4名・愛知4名)の雅号イロハ順に100作の画題が掲載されています。これは会場陳列順でもあり、大家から新進気鋭の若手までの100作が整然と並びました。さらに“番外”として竹内栖鳳の《アレ夕立に》が特別出陳されました。同作は第3回文展出品作で開会早々大評判となり、新聞各紙には作品批評が続々掲載されました。東京で公開され話題沸騰の《アレ夕立に》を、京都・大阪で見ることができる百幅画会へ多くの人が足を運んだものとみられます。
同作品は当時と同様に本展でも特別出陳します。

現代名家百幅会 出品目録 1909年

  • 作品画集『百名家画譜』発行

「百名家画譜」1910年発行

百幅画会の出品画100作の図版を掲載した『百名家画譜』(1910[明治43]年1月発行)は、高島屋が初めて制作した画集です。表紙題字は帝室博物館(現 東京国立博物館)総長・股野琢(1838~1921年)。股野氏は「百幅百態、皆、当今の名手たり」「昌代の一美観(めでたい世の麗しい見もの)」であると序文を寄せています。

  • 百幅画会出品作の発見

100幅の行方は杳として知れませんでしたが、2014(平成26)年、出品№95 竹内栖鳳《小心胆大》を、そして2022(令和4)年、さらに、出品№9 岸米山《秋猿》、出品№75 望月金鳳《月下遊狸》の寄贈を受け、2023年1月、高島屋史料館(大阪市)で開催した「1909 現代名家百幅画会」で初公開する運びとなりました。
《秋猿》《月下遊狸》は当時の表装のままであり、ここで初めて百幅画会の表装が明らかになりました。さらに、笠岡市立竹喬美術館寄託品・都路華香《春雨図》が、百幅画会出品作№32《春雨》であることが判明しました。今回、その所在が明らかとなった4幅のうち、高島屋史料館所蔵の《小心胆大》《秋猿》《月下遊狸》の3幅を展示します。

№9 岸米山 《秋猿》1909年 絹本着彩 ※表装は当時のまま

№75 望月金鳳 《月下遊狸》1909年 絹本着彩 ※表装は当時のまま

№95 竹内栖鳳《小心胆大》1909年 絹本着彩

  • 「現代名家百幅画会」を再現

当時、三都(京都・大阪・東京)の新聞各紙は、「近来の見もの」である百幅画会を取り上げ、出品画写真や展覧会の批評文を掲載しました。各批評のうち総じて評価が高かったのは、№20 横山大観 《風雨山村》、№51 中村不折《水墨山水》、№65 富岡鉄斎 《龝景山水》、№86 榊原蕉園 《花の酔》、№93 菱田春草 《妙義の秋》、№95 竹内栖鳳 《小心胆大》などでした。本展では、画集「百名家画譜」によって知られる100枚の画像パネルで、当時の会場を再現します。
その他、《アレ夕立に》下絵(京都市美術館所蔵)画像パネル、染織品下絵《アレ夕立に》(高島屋史料館所蔵)など関連資料の展示や、会場内に百幅画会と所在が明らかとなった4幅の解説映像を放映する視聴コーナーも設置します。

「百名家画譜」1910年発行より

  • ギャラリートーク開催

■日時:2023年11月29日(水)・12月2日(土)・3日(日)・9日(土)・10日(日)
各日14時から約30分
■講師:高井多佳子(高島屋史料館研究員)

【お問い合わせ先】日本橋高島屋:03-3211-4111(代表)