2020年11月30日

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にんべん、個食とイエナカ需要に商機 惣菜店で顧客接点拡大も

2020/11/19 5:00 pm

にんべんは歳暮商戦で〝個食〟ニーズへの訴求を強める。「日本橋だし場 だしスープ詰合せ」や「至福の一椀 おみそ汁・お吸い物詰合せ」といった個食に対応する商品を揃えるが、近年の生活様式の多様化にコロナ禍が加わり、需要が拡大していることに着目。これらの商品、特に日本橋だし場 だしスープ詰合せの拡販に注力し、百貨店からも好感触を得ているという。中元に引き続き、家で過ごす時間を少し贅沢にする商品がトレンドとなりそうなのも追い風だ。無論、一番人気の鰹節ギフト「鰹節フレッシュパックゴールド」も打ち出し、変わらぬ定番の味を求める客に応える。一方で、10月には直営の惣菜店「一汁旬菜 日本橋だし場」の2号店をオープンするなど、顧客接点の拡大に向けた施策にも余念が無い。

日本橋だし場 だしスープ詰合せは風味豊かなだしを利かせた

日本橋だし場 だしスープ詰合せは、7種類のスープに本枯鰹節のだしを利かせた贅沢な味わいが特徴。1袋で1人前となっているため、感染拡大のリスクなど衛生面を気にする人にも贈りやすい。にんべんは百貨店へ積極的にアプローチし、今まで扱っていなかった百貨店にも採用された。おせちでも「個食用一段重」の取り扱いが増えていることもあり、「個食ニーズやイエナカ志向の高さに期待できる」と経営企画部商品サービスグループ次長の豊田義徳氏は語る。

日本橋だし場 だしスープ詰合せは「だし薫る和風ポトフ」、「なめこと豆腐の赤だし」、「生姜入り肉だんごスープ」、「和風ピリ辛カルビスープ」、「炒め玉ねぎのオニオンスープ」、「だし薫る豚汁」、「だし薫るけんちん汁」を揃え、だし薫るけんちん汁が2袋、他は1袋で計8袋を詰め合わせる。保存は冷凍で、電子レンジもしくは湯で温める。

「至福の一椀 おみそ汁・お吸い物詰合せ」は原材料にもこだわった

ここ数年で人気が上昇し、歳暮商戦では鰹節フレッシュパックゴールドに次いで主力となる、至福の一椀 おみそ汁・お吸い物詰合せは、国内産のかつお節粉末と昆布粉末を使用した風味豊かな味噌汁と、白だしと昆布だしを使用した上品な風味の吸い物からなる。味は「わかめのおみそ汁」、「豆腐・ねぎのおみそ汁」、「焼なすのおみそ汁」、「赤だしなめこ」、「豚汁」、「ふわっと玉子のお吸い物」、「ねばり野菜のお吸い物」の7種類を用意した。

だしの風味を生かし、化学調味料を使用せずに仕上げた。 具材ブロックと調味ブロックを分け、フリーズドライ製法でそれぞれに適した凍結乾燥条件で仕上げることで、素材本来の風味を引き立てる。ブロックが分かれているので具材に調味が染み込まず、作りたてのような味わいが楽しめる。

「鰹節フレッシュパックゴールド」はだしだけでなくトッピングにも使える

不動の人気を誇る鰹節フレッシュパックゴールドは、鮮度の良い一本釣りのカツオをじっくりと熟成させて仕上げた本枯鰹節を使用。かつお節本来の香りとうま味を損なうことなく伝える。花びら状に削り上げた「ソフト削り」と、糸のように削った「糸削り」の2種類を用意する。ソフト削りは口当たりがなめらかで豊かな風味を持ち、かつおぶしめしやおひたしなど、素材をシンプルに味わうメニューに合う。糸削りは繊細で美しい形状が特徴で、料理を華やかに彩る。

鰹節フレッシュパックゴールドの魅力の秘訣は、その工程にある。にんべんの本枯鰹節は釜で煮詰める「煮熟」や薪を燃やして水分を抜く焙煎、カビ付けをはじめ複雑な工程を要し、完成までに約半年がかかる。カビ付けは4回以上繰り返すことで水分を12~15%程度まで落とし、生臭さを軽減して脂肪を分解させる。こうして生まれた本枯鰹節の風味がよく芳醇な香りで、顧客から厚く支持されている。

個食用一段重も需要の増加を見込み、今年は取り扱いを増やした

 

にんべんは素材や製法にこだわって生み出した高品質な商品で多くの顧客を抱えるが、他方で新客も開拓しなければ先細りは避けられない。特に昨今では料理で顆粒や粉末のだしを使用する人も少なくなく、鰹節を使ってだしを取るという習慣に馴染みのない層が増えている。そうした状況下でにんべんは直営事業「日本橋だし場」ブランドの店舗展開を進め、様々な切り口からだしの魅力を発信。鰹節の普及や顧客の育成に努める。

2010年10月にだしを使ったメニューが提供される直営店「日本橋だし場」を東京・日本橋エリアにオープンし、以降はその場でドリップした「かつお節だし」やスムージーが味わえる「日本橋だし場 Drip」(18年11月)、弁当専門店「日本橋だし場 OBENTO」(19年3月)などを立ち上げてきた。今年6月18日には惣菜専門店の「一汁旬菜 日本橋だし場」を神奈川県横浜市の「CIAL横浜」に、10月には西武百貨店池袋本店に開業。店舗網の拡大にアクセルを踏んだ。

一汁旬菜 日本橋だし場は和のジャンルに囚われないかつお節やだしが利いた弁当、惣菜を取り扱う。10月14日にオープンした西武池袋店は地下1階の食品売場に構えるが、開業以降多くの客で賑わっているという。一般的に客数が少ない開店直後の時間帯にも途切れず客が訪れる。豊田氏は店の繁盛を喜ぶとともに、「このお店をきっかけにだしの魅力に気が付く方が増えたら嬉しい」と期待を寄せる。

弁当や惣菜といったきっかけがだしの魅力を知る入口になり、ひいてはにんべんの認知度や人気の向上へと繋がる。にんべんは歳暮商戦で「個食」、「イエナカ需要」といった時流に応じて売上げを押し上げると同時に、長期的な視点での顧客獲得に向けた布石も打ち、企業やブランドの成長力を育む。