2024年04月21日

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森ビルの「麻布台 ヒルズマーケット」開業、生鮮や惣菜など34の人気専門店集まる

3月13日に麻布台ヒルズのガーデンプラザCにオープンした「麻布台 ヒルズマーケット」

森ビルは13日、「麻布台ヒルズ」に大規模フードマーケット「麻布台ヒルズ マーケット」をオープンした。約1200坪の広大な地下空間に、生鮮食品から惣菜、グローサリー、ベーカリー、スイーツ、ワイン・リカーなどまで、34の専門店が集まる。名店にしか流通しない高品質で稀少な食材や、出来立てが買えるバイオーダー品の充実、一部の店舗ではイートインも楽しめる。東京の中心から日本の食文化の豊かさを発信し、食を通じて暮らしに楽しさを届ける食のマーケットを目指す。

昨年11月に開業した麻布台ヒルズは、約2万3000㎡の店舗面積にファッション、ビューティー、カルチャー、アート、ウェルネスなど、多彩なショップが集積する。その中でも「食」を重要なテーマと位置付け、世界に誇れるフードマーケットを目標に据える。「日本の食文化の豊かさを伝えたい」をコンセプトに、日本の地形や自然の恵みによる多様な素材を生かした調理法や、季節を楽しむ旬の食材や盛り付け、家庭的なものから海外の食文化を取り入れたものまでバラエティ豊かなメニューを展開し、日本の時節や祭事と深く結び付く食の要素も盛り込む。

地下1階のマーケットの中央に集中レジを配した

森ビル担当者によれば「スーパーマーケットの利便性とデパ地下の専門性やバリエーションをしっかり抑えつつ、商店街やマーケットが持つ自然発生的な楽しさやワクワク感を実現していきたい」という。一般的な都市型スーパーマーケットの面積は300~500坪で、デパ地下は約2000坪、その中間面積の約1200坪を有する同マーケットでは「コンパクトでも専門性が高く、都市生活者が限られた時間の中でより質の高いものを手に入れられる」(担当者)ような規模にした。

色鮮やかな野菜や果物が、所狭しと陳列されている

地下でありながら明るく開放的な空間には、食材から食品までが彩り豊かに並ぶ。生鮮食品では、自社農園で育てた野菜や果物、全国から集まる旬の青果、惣菜を揃える京都の「八百一」、上質な和牛肉を希望の厚さにオーダーできる老舗のすき焼き割烹「日山 WAGYU」、地鶏から銘柄鶏まで幅広く用意する「築地 鳥藤」などが出店。

名仲卸のやま幸が手掛ける「麻布台 やま幸鮮魚店」は、「日本の魚のおいしさを家庭の食卓にも伝えていきたい」と今回初めて小売りにチャレンジする。店頭にはマグロの大きなブロックが陳列された「マグロタワー」や、「子供への食育」の観点から魚の魅力を伝えるため魚やカニが泳ぐ水槽も設置する。店舗脇には、ミシュランガイド東京で6年連続3つ星を獲得している「鮨さいとう」が店を構え、やま幸の新鮮な魚で握ったすしが食べられる。

「だし尾粂」の国産にこだわった原材料。好きなものを選んでオリジナルのだしパックがつくれる

グローサリーは、ブレンド米の提案やおにぎりを販売し、炊飯講習も実施予定の「お米とごはん 隅田屋」、鰹節や煮干しなど30種類以上の国産天然原料からオーダーメイドで自分だけの「だしパック」がつくれる「だし尾粂」、生ハムのバイオーダーも可能なイタリアのチーズメーカー、カ・フォルムの自社ブランド「フィオールディマーゾ」、神戸・芦屋のシャルキュトリ(ハムなどの食肉加工品)の名店による「クスダ シャルキュトリー メートル アルティザン」などのほか、「明治屋麻布台ストアー」も直輸入の食材や冷凍食品を充実させる。

惣菜も多彩なラインナップを揃える。フレンチや中華の要素を取り入れたベトナム料理とアジア惣菜の「カム バイ スタンドバインミー」、東麻布に店を構える人気の中国料理店「富麗華 キッチン」、揚げ物などの販売に加えイートインでハンバーグやエビフライが楽しめる「大人のお子様ランチ」を提供する「パーラー矢澤」、国産の活ウナギを伝統手法「江戸焼」で仕上げた「鰻重」や和惣菜を用意する「鰻 まえはら」、ミルキークイーン米の米糠でぬか漬けにした季節野菜などを販売する漬物専門店「菜香や」などが出店する。

「MATTE」の「コルテッチャ」は、専用の機械でコンマ1mm単位で薄くした、同店のスペシャリテであるチョコレート菓子

ベーカリーやスイーツも、注目店が軒を連ねる。「Comme’N TOKYO(コム・ン トウキョウ)」は、パリの国際大会「モンディアル・デュ・パン」で日本人初の総合優勝・世界一となった大澤秀一氏が代表を務めるベーカリー。バゲットやクロワッサン、惣菜パンなど常時80種類以上を取り揃える。店舗内には子供だけが楽しめるゾーン「Comme’N KIDS」、メレンゲ菓子専門店の「Comme’N MERINGUE」も併設する。伊・ナポリのチョコレート菓子「コルテッチャ」やジェラートも販売する「MATTE(マッテ)」や、かつて白金台で人気店として名をはせた「TIRPSE」のオーナー、大橋直誉氏が手掛ける生ケーキや焼き菓子の「ラニギロ」なども展開する。

地下1階の集中レジ横のエスカレーターで1階に上がった先にあるのが、ワイン・リカーショップ「インタートワイン ケーエム 山仁」だ。山仁の代表取締役社長でもあり、ワイン業界の最高権威「マスター・オブ・ワイン」の称号を日本で唯一持つ大橋健一氏がセレクトした、約1000種類のワイン、約140種類の日本酒、約80種類の焼酎を展開する。加えて、店内奥に設けたカウンターではコンポーネントペアリングが体験できる。国内外で活躍するトップソムリエの大越基裕氏が監修し、ワインなどのドリンクとピンポイントで合わせる食材の特別なマリアージュが楽しめる。

月替わりに20銘柄の酒を用意し、日本初のコンポーネントペアリングを提供する「インタートワイン ケーエム 山仁」

同店の出店は、元々森ビルのコンサルタントに携わっていた大越氏から、大橋氏に出店依頼があったことがきっかけ。新店の品揃えについて、山仁の担当者は「世界でトレンドの兆しを見せているワインや、環境問題に取り組むワイナリーを紹介したい。日本でよく知られているフランスやチリ以外にも良いワインがたくさんあることを伝えたい」と話す。店の入り口近くには、日本ではあまり選択肢に入らないロゼやオレンジワインを集め、家庭の食卓での楽しみ方を訴求していく。

麻布台ヒルズマーケットでは食を販売するだけでなく、今年5月には「麻布台ヒルズマーケット ラボ」がスタートする予定。森ビルとマーケットに出店している専門店とでコミュニティをつくり、食の改善や進化に向けた実験や、体験・学びの場の創出、環境問題やウェルネスについて取り組んでいく。昨年行われた麻布台ヒルズ開業説明の場では、辻社長が「出店する専門店と商店会をつくり、麻布台ヒルズ内外の店舗やシェフ、学校や企業などとも協業し活動を進めていく」と構想を語った。各専門店からも情報発信を望む声があるといい、森ビル独自の食のマーケットに期待が集まる。

(中林桂子)