2024年07月27日

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ドリームフィールズの「ビズー」、カラーストーンの魅力広める日仏コラボ

「BIZOUX×Studio28」は、カラーストーンの奥深い魅力が堪能できるコレクション

ドリームフィールズの天然石ジュエリーブランド「BIZOUX(ビズー)」は先ごろ、新作コレクション「BIZOUX×Studio28」を発表した。仏のジュエリーデザイナーとコラボレーションし、日本の「桜」とパリの「フランス式庭園」をモチーフにリングやバングルなど全9型を制作。ピンクサファイアやエメラルドなど鮮やかなカラーストーンを散りばめ、それぞれの世界観を表現した。国内のビズーの店舗と同社のECサイトに加え、仏・パリのジュエリーショップ「ディアマンティシモ」で販売する。

ビズーは今年、ブランド誕生から15年目を迎える。取り扱うカラーストーンは、一般的に知られるルビーなどから「パライバトルマリン」といった世界的にも稀少なものまでと多種多様。日本を含む世界20カ国以上から独自のルートで買い付け、国内でもトップクラスのラインナップを誇る。天然石だけでなく、各石の個性を生かしたクラシカルかつモダンなデザインのジュエリーも、常時100種類以上を用意。20~40代の女性から支持を得ている。

デザイナーの小川翠氏(左)と、ピエール・コーエン・ソラール氏(右)。2人は自他共に認める大の“石マニア”だ

今回のコラボレーションは、ジュエリー事業部アトリエデザイナーの小川翠氏がパリを訪れた際、偶然立ち寄ったジュエリーショップ、ディアマンティシモでの出会いがきっかけだった。100年以上の歴史を持つ老舗で、店を継ぐピエール・コーエン・ソラール氏は、カラーストーンのジュエリーブランド「Studio28(スタジオ ヴァンテュイット)」のデザイナー。2人は互いに“石好き”というコアな趣味を持ち合わせていたこともあり、すぐに意気投合したという。小川氏は「日本から遠く離れた国で、ファッションにおける観点も違うと思うけれど、(同じく)宝石を愛する人と出会えた」と語る。“宝石”が共通言語となり、コレクションの実現にそう時間はかからなかった。

新作のジュエリーは「カラーストーンで世界と繋がる」がテーマ。日本と仏それぞれで昔から愛されてきた存在として、ピエール氏が日本のシンボルでもある桜を、小川氏がパリジェンヌが憩いの場とする庭園をモチーフにデザインした。

当初はいずれのモチーフにも「花」を想定していた。しかし「日本人にとって“桜にまつわるカルチャー”は強く根付いている」(小川氏)のに対し、仏では同じような位置付けとなる象徴的な花が見当たらなかった。そこで挙がったのが、庭園。パリの人達が日常的に愛する自然あふれる空間を採用した。

繊細な色のグラデーションが、奥深い桜の表情を映し出す

ピエール氏が手掛けたのは、リング2型、ピアス1型、ペンダントトップ1型、バングル1型の計5型。日本ならではの花見からインスピレーションを得て、艶やかな夜桜を表現した。バングルの「マルチカラージュエル K18イエローゴールドバングル・サクラ」は、日本限定販売。「K18 リサイクルメタル」で桜の木の枝をイメージした曲線に、鮮やかでしっとりとしたピンクスピネル、高い透明度で美しい発色のピンクサファイア、小さなダイヤモンドを散りばめた。ピエール氏は「桜の花自体がユニークで、それに合わせて宝石をチョイス。少しずつ色味の異なるピンクを使用した」とポイントを語る。

ピエール氏のデザインについて、小川氏は「ビズーも桜と名の付く商品を出してきたが、そのどれとも違う。最も異なるのは宝石の色。ビズーでは淡くはかないピンクを使ってきたが、濃くてしっかりと発色するものを使うのは面白い」と興味を示す。

ピエール氏は自身もリヨンのアトリエに赴き、作品の特徴でもある桜の枝のデリケートなラインを職人と共に試作。石の配置についてもこだわり、丸一日かけて職人と一緒に決めた。

それぞれの石の輝きが、植栽や水辺のある空間を想起させる

一方の小川氏は、フランス式庭園をイメージしたリング2型、ペンダントトップ1型、ピアス1型の計4型をつくり上げた。模様のようなインクルージョン(内包物)を持つことから、フランス語で「庭」を意味する「ジャルダン」とも呼ばれるエメラルドをメインで使用する。

「ジャルダンをジュエリーに置き換えただけと言ってもいい程」と小川氏が口にするほど、デザインはスムーズに進んだ。「色々なフランス式庭園の設計図を見たが、元々好きなアンティークジュエリーのデザイン形態と似ていて親和性があった」(小川氏)。デザイン画を見たピエール氏からも、すぐに「パーフェクト」の“お墨付き”を得た。

「エメラルド×マルチカラージュエル K18リング・ジャルダン」は、約6×4mmにオーバルカットしたエメラルドが存在感のあるリング。庭園を模した四角い地金の中央に配し、その周りに淡いグリーンのグリーンガーネットと、水しぶきを思わせるダイヤモンドを4石ずつあしらった。石の輝きが引き立つよう、四角い地金のアウトライン部分のみをヤスリがけし、マット加工を施した。職人の手によって磨かれた、厚みのあるぜいたくな地金使いも特徴だ。

リングの地金について、初めはプラチナとイエローゴールドの2つを使用する予定だった。しかし、仏では素材を組み合わせるとアンティークでレトロなテイストに見られがちだという。「もう少しモダンにしたい」というピエール氏からの希望も受け、最終的にイエローゴールドのみで仕上げた。

「GINZA SIX店」のショーケース。ライトダウンした店内で存在感を放つ

仏では依然としてダイヤモンドが主流とされる中、カラーストーンへの想いをピエール氏はこう語る。「家が宝石商を営んでいたこともあり、子供の頃から宝石を見てきたが、物自体はミネラル。研磨することで、最終的に美しく輝く“いきもの”だと思っている。一つ一つ異なる石には、同じように一つ一つの世界があると感じる」。新しい石を求めて仏各地へ足を運ぶピエール氏にとって「地球が贈ってくれる宝物」だという。

小川氏も「カラーストーンの魅力は個性豊かなところ。ダイヤモンドは業界として良い悪いの明確な基準があるが、カラーストーンは良いとされる枠にはまらなくても『これはこれですてき』という見方ができる宝石。人それぞれの感覚で好きなものが選べる」と、幅広い楽しみ方に触れる。

カラーストーンに“魅せられた”2人の偶然の出会いから生まれた、BIZOUX×Studio28。まだどこかで眠る一石が、新たな輝きを放つ日が待たれる。

(中林桂子)