2024年03月04日

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日本初のスマートエアポートシティ、HICityがグランドオープン

23年11月16日にグランドオープンした際規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」

羽田みらい開発株式会社が羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)で開発を手掛ける大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」(以下HICity)が、11月16日にグランドオープンした。

多摩川に面し、羽田空港第3ターミナルから1駅の天空橋駅に直結するHICityは、敷地面積約5.9ha、地上11階・地下1階、延床面積約13万1000㎡のスケールを持つ大規模複合施設。「『先端』と『文化』の境界を越えた交流を誘発し、新たな価値創造を実現する日本初のスマートエアポートシティ」を表明している。事業主体である羽田みらい開発は、鹿島建設、大和ハウス工業、京浜急行電鉄、日本空港ビルデングなど9社からなる連合体。大田区の基礎産業であるものづくりと羽田空港が持つ発信力の拠点となる複合施設として、先端と文化を融合させた提案が用地を持つ大田区のコンペで同社が選ばれ、HICity事業が実現した。契約期間は50年となっている。

約200mに及ぶ、HICityの各建物を結ぶ来訪者のメイン動線「Innovation Corridor」

2020年7月にまちびらき(一部先行開業)し、同年9月に本格稼働したHICityは、研究開発施設・オフィス、先端医療センターなどの先端部分と、イベントホール、宿泊施設、日本文化体験施設、飲食店などの文化に関する施設が集積されている。その大規模複合施設はA~Kまでの11ゾーンからなり、A・B・Cの3ゾーンが今回のグランドオープンで完成した。Aゾーンには「ホテルメトロポリタン羽田」や「藤田医科大学東京 先端医療研究センター」など、Bゾーンには1~6階にオフィスが入居。Cゾーンには企業参画型コワーキングスペースが完成した。

HICityで先端を代表するコンテンツは「先端モビリティセンター」、空港課題の研究開発拠点 「terminal.0 HANEDA」、藤田医科大学東京 先端医療研究センター、区施策活用スペース「HANEDA×PiO」、「コングレスクエア羽田」、「よい仕事おこしプラザ なんでも相談プラザ」、「さわやか信用金庫 ビジネスマッチングセンター」、「水素ステーション」など8つの先端産業分野の機能でなる。

4足歩行ロボット「Spot」。グランドオープンイベントではロボットオペレーター体験を行った

HANEDA×PiOは大田区が設置した企業・研究機関などの集結拠点で、その中にあるPiO PARKは、コワーキングスペースを備えた交流空間となっている。コングレスクエア羽田は展示会や入社式、会議など、最大621名規模の多機能ホールや多様な5つのカンファレンスルームをワンフロアに完備している。よい仕事おこしプラザ なんでも相談プラザは、全国の信用金庫や公共団体、大学などに、地域やカテゴリーを超えてビジネスに関する情報交換やつながりをつくるための交流の場。さわやか信用金庫 マッチングセンターは、地域の中小企業の新たなビジネスを創造する交流拠点として、各種セミナーや勉強会などを開いている。

一方の文化を発信するコンテンツは、宿泊機能(「ホテルメトロポリタン羽田」、「京急EXインホテル」)、ライブホール(「Zepp Haneda」、スタンディングで3000人収容)、体験型商業施設、「足湯スカイデッキ」など5つの文化産業分野の機能でなる。特徴的な店舗として、コックやウエイターなどが全てロボットの未来型レストラン「AI_SCAPE」は、ロボットと人が共生し社会課題を解決するレストランの実証実験場ともなっている。カフェバーでありながらクリエイターやアーティストの表現の場として情報発信&体験型施設の役割も担うのが「HICity Square café/bar」。50種類以上の本格中華が味わえる蒲田発の老舗店「春香園」や、厚切りの林 SPF豚を提供する地元蒲田創業のとんかつ専門店「とんかつ檍」なども出店している。

ロボットラボ・レストラン「AI_SCAPE」

羽田みらい開発が幹事を務める「羽田第1ゾーンスマートシティ協議会」は、モビリティ、ロボティクス、ツーリズム、ヘルスケア分野を中心とした実証実験によって社会課題を解決するためのテストベッドの形成を図っている。デンソーが「先端モビリティセンター」で行っているのが自動運転技術などの研究開発や実証実験。同センターは試作品車両への搭載などを行う車両整備棟や実車評価用の専用テスト路も備えている。

HICity敷地内では「自動運転バス」の実証実験も進んでいる。2020年に複数企業と協働しHICity内に国内初となるスマートシティにおける自動運転バスの恒常的導入を実現。21年には羽田空港第3ターミナル間の公道において、一般の利用者向けには初となる運行実証を実施し、以降、長期実証を含む計5回の実装実験を実施した。そのほか、ロボットを活用したフードデリバリーシステムの実証実験や複数メーカー・複数台のロボットとエレベーターとの連携基盤システム、統合管制システムなどの開発や、HICity内のビーコンや映像解析AIを用いて人流・モビリティ・ロボットなどの施設内のリアルタイム情報の可視化を推進している。

11月16日に開かれたグランドオープン記念式典には多くの来賓が参列した

羽田みらい開発はグランドオープンを記念して11月17~19日の3日間、街を挙げて数々のグランドオープニングイベントを行った。主なイベントとして、5組の表現者が登場して「“Innovation”とは何か」をテーマにしたトークセッション「INNOVATION IDOBATA」をはじめ、先進技術の最先端を集結し、自動運転モビリティの試乗やロボット体験など先端テクノロジーをテーマにした「Technology Exhibition」や、伝統の店から新しいチャレンジの店など、飲食店から物販、展示に至るまで現代の日本のライフスタイルが体感できる「Lifestyle Marche」、ブロックチェーン、ロボティクス、生成AI、XRなどの国内外の先進技術領域に携わる事業者や一般企業・スタートアップを一堂に集めた「HANEDA EXPO」などが開催された。

(塚井明彦)