2024年04月27日

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<ストレポ5月号掲載>店舗別/品目別 全国百貨店2022年暦年売上高ランキング

大都市圏を中心に、回復基調が加速している(画像はイメージ)

本誌調査による全国百貨店の2022年(令和4年)の暦年(1~12月)売上高の店舗別並びに品目別ランキングがまとまった。周知のように22年も新型コロナウイルスの影響が続いたとはいえ、大都市圏の基幹百貨店を中心に2桁伸長を遂げ、コロナ禍前の水準に大きく近づいた。年間を通じてラグジュアリーブランドや時計、宝飾、美術などの高額品が好調で、これにファッション関連の季節商材が動きはじめ、10月以降はインバウンド需要が急増。22年は百貨店本来の強みが発揮され、回復基調が加速してきた。

※この記事は、月刊ストアーズレポート2023年5月号掲載の特集「店舗別/品目別 全国百貨店2022年暦年売上高ランキング」(全33ページ)の一部を抜粋・編集して紹介します。購読される方は、こちらからご注文ください。(その他5月号の内容はこちらからご確認いただけます)

大都市圏の基幹百貨店がけん引、コロナ禍前の「9割」まで回復

全国百貨店の2022年(令和4年)暦年(1~12月)売上高(日本百貨店協会調査、71社185店)は4兆9812億円余で、既存店ベース(店舗数調整後)の前年比は13.1%増となり、前年(5.8%増)を上回る伸長率だった。コロナ禍前の19年比では11.1%減で、前年(21.5%減)より10.4ポイントも改善し、「9割」まで復調してきた。

売上げ額ではコロナ禍が直撃した20年と比べ、7608億円増えており、20年の減額(1兆5342億円)のうち半数程度まで取り戻した。10都市の回復度が鮮明になり、中でも基幹百貨店でコロナ禍前の実績を超える店舗も出始めた。品目では前年に続きラグジュアリーブランドや時計・宝飾、美術など高額品がけん引し、ファッション関連も復調してきた。

コロナ禍前の19年比で捉えると、1~3月が19.6%減となり、「8掛け」の回復度だったが、4~6月の第2四半期で回復基調が継続し、6月までの上半期累計は15.8%減まで復調してきた。次いで第3四半期までの9カ月累計は15.7%減と僅かの回復度にとどまった。しかしながら10月から12月の第4四半期で回復基調に拍車がかかり、結果、暦年で11.1%減まで復調した。

売上げ額では上半期が2兆2987億円、下半期が2兆6824億円となり、前者が前年(1兆9924億円)と比べ3063億円(21年1602億円増)、後者が前年(2兆4258億円)よりも2566億円(同377億円増)、それぞれ増えている。前年に比べ大幅に挽回しているとはいえ、コロナ禍が直撃した20年に上半期が9695億円、下半期が5648億円も落としていただけに、21年と22年の増額を足しても20年の落ち込み額の50%程度の回復度だ。

上位店舗が軒並み高伸長、地方・郊外はひと桁台に

本誌が調査した全国百貨店の22年暦年売上高の店舗別ランキングでは、大都市圏の上位店舗が軒並み前年比2桁伸長を遂げ、2割超、3割超の店舗も相次いだ。2桁伸長組は、前年のコロナ禍の営業自粛に伴う「反動増」に加え、ラグジュアリーブランドや時計、宝飾、美術などの高額品の品揃えが厚く、かつコロナ禍前にインバウンド需要(免税売上高)が大きかった店舗だ。対照的にこれらの需要規模が小さい地方都市や郊外立地の店舗の伸長率が低い。伸長率で明暗がくっきり表れた。

売上高50位までの店舗で2桁伸長は30店舗にのぼり、6割を占める。上位30位までで26店舗、さらに上位20店舗は全て2桁伸長を遂げている。ランキング上位は言うまでもなく大都市圏で、百貨店各社の基幹店が占める。

このうちトップテンでは、1位の伊勢丹新宿本店、2位の阪急本店が共に27%台の伸長率。伊勢丹新宿本店は3000億円を突破し、阪急本店は再び2000億円台に復活した。前年の4位から3位に上がった西武池袋本店をはじめ、5位の髙島屋大阪店、6位の髙島屋日本橋店、前年よりワンランク上がった7位のジェイアール名古屋髙島屋、同じく8位に上がった三越日本橋本店は15~19%台の2桁伸長率だ。10位の松坂屋名古屋店は12%台だが、前年に続く2桁伸長を遂げている。いずれも高額品の品揃えが充実している店舗であり、多くの外商(お得意様)顧客を抱える店舗だ。

11位から20位も2桁伸長ばかりが並ぶ。ここでは11位の大丸大阪店(心斎橋店と梅田店合算、23.2%増)、16位の松屋銀座本店(32.2%増)、17位の髙島屋新宿店(34.3%増)、19位の三越銀座店(32.2%増)の伸長率が目立つ。3割を超える伸長率の3店舗は、順に前年の20位から16位に、21位から17位に、24位から19位に、それぞれランクアップした。これらはコロナ禍前にインバウンドの売上高構成比が高く、20年にインバウンド激減の大打撃を受けた店舗だ。主要都市の百貨店では22年10月以降、水際対策の大幅緩和や円安の影響でインバウンド需要が急増しているが、その増勢が容易に想像できる。

全国百貨店の22年暦年売上高はコロナ禍前の9割まで回復したが、大都市圏の基幹百貨店がけん引した格好で、これは地方・郊外立地との回復格差が鮮明化したとも言える。構造改革(店舗閉鎖)や再開発に伴う店舗縮小による売上げ減を余儀なくされた百貨店もある。売上高ランキングからも「百貨店再生」への過渡期の業界構図が垣間見える。

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