2024年05月05日

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【連載】富裕層ビジネスの世界 サラリーマンが不動産投資で富裕層になる方法

給料は上がらず、税金も源泉徴収できっちり取られてしまうサラリーマンにとって富裕層になるなど夢のまた夢。そんな風に思っている読者も多いだろうが、不労所得で夢を実現した人もいる。


埼玉県に住む澤田次郎さん(49歳・仮名)は4年前、IT系企業を退職した。もめたり、不満があったりしたわけではないが、「上司たちの姿を見ていて、これ以上、会社にしがみついても将来はないと気づいた」(澤田さん)からだ。

当時、澤田さんの年収は約1000万円、ツインカムだったため世帯年収は約2000万円だった。退職金も満額出る。そこで澤田さんが次の生活の糧に選んだのが「不動産投資」だった。

まず、横浜市郊外の中古マンションを「勉強のつもり」(同)で400万円で購入。4万5000円の家賃で賃貸する。次いで、東京23区内の分譲マンション2戸を、銀行から2400万円の融資を受けて、3500万円で購入する。「入居していたオーナーができるだけ早く資金を欲しがっている」との情報を得て、格安で購入して賃貸した。

澤田さんは、この取引で不動産の購入方法や価格交渉といったノウハウを学んだという。
「相場はあるが、不動産は基本的に相対取引。オーナーに今すぐ引っ越したい、今すぐ資金化したいといった意向があれば、交渉次第で安く買える。大事なのは、そういう物件の情報をいかに得るかだ」(同)

この段階で法人を設立、新築の1棟買いに乗り出す。23区内の2階建て30戸のアパートを一部ローンの5300万円で購入したのだ。ここでは入居者を埋める経験を積んだという。「駅からも距離があるため、サイトに情報を掲載したり、近隣の不動産屋を回ったりして、3ヵ月で満室にした」(同)。

その後、中古の分譲マンションやアパートを相次いで購入し、自信をつけた澤田さんは、ついに千葉県船橋市のマンション1棟を、1億4000万円で手に入れる。「購入した物件を売却してキャピタルゲインも得ていたことに加え、安定した利回りを出していたこともあって、銀行は何も言わず貸してくれた。それで決断できた」(同)。

こうして、澤田さんが現在所有している不動産は8棟60戸。コストを除いた実質利回りは、4%程度だという。結果、わずか4年間で総資産は5億円にまで大きくなり、「脱サラ大家」として富裕層へと上り詰めたのだ。

選別眼と分散が重要

不動産投資のコツについて、澤田さんはこう語る。

「満室になり、きちんと家賃を得ることができる物件を見る目利き力が重要。そのためには、いつも情報を得て、こまめに足を運んで選別眼を養うことが重要だ」。その上で、「不動産投資で最も怖いのは、自殺や殺人、火事といった事故。避けようがない面もあるが、できる限りヘッジしなければならない。そのためには、たくさんの物件を、違った場所に分散して持つ必要がある」と指摘する。

確かに、澤田さんが不動産投資を始めた時期は、貸出先に困っていた地方銀行を始めとする金融機関が、不動産投資ローンに前のめりになっていた頃だ。「地銀を中心に、事業計画書にさっと目を通すだけで、簡単にどんどん貸してくれた」(同)状況だった。

それがスルガ銀行によるシェアハウスへの不正融資問題が発覚して以降、金融機関は融資に慎重になった。それでも、澤田さんは不動産投資を勧める。

「株はリターンも高いが、リスクも高いため何か起きたら何も残らない。しかし、不動産投資であれば物件は残る。融資でレバレッジをかけ、短期間で高いリターンを得るのは難しくなった。10年くらいのスパンでコツコツリターンを得ることが重要だ」

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