2024年10月14日

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20年上半期、21SCがオープン

6月に開業した住友不動産のショッピングシティ有明ガーデン

日本ショッピングセンター協会(以下SC協会)が2020年のSC動向について発表した。2020年上期(1月~6月)にオープンしたSC数は21SCとなり、下期(7月~12月)もオープン予定数が20SC程度あることから、年間では40強のSCがオープンする見込み。

上期にオープンした21のSCは首都圏の周辺立地を中心に中小型SCが多かった。1SCあたりの店舗面積は1万5000㎡で、17年上期(2万3152㎡)・18年上期(1万9923㎡)・19年上期(1万5217㎡)を下回った。1SCあたりのテナント数は58店舗だった。また、新型コロナウイルスによる影響で4・5月にオープンを予定していたSCの多くが延期となり、6月のオープンが約半数を占めた。

店舗面積別オープンSC数の比較

店舗面積別オープンSC数の比較(日本ショッピングセンター協会定例記者懇談会配布資料より抜粋)

店舗面積別では1万㎡未満が10SCで一番多く、1万㎡以上2万㎡未満が5SC、2万㎡以上3万㎡未満が4SC、5万㎡以上のSCはなかった。ちなみに4万㎡を上回ったのは「住友不動産ショッピングシティ有明ガーデン」(店舗面積4万㎡)と「イーアス沖縄豊崎」(同4万7600㎡)の2SC。都道府県別では東京都が一番多い6SC、2番目は神奈川県の4SC。

 

SC協会では下期オープン予定SCとして20施設上げているが、愛知県では「三井ショッピングパークららぽーと愛知東郷」(店舗面積約6万3900㎡)をはじめ、「イオンタウン岡崎美合」、「Hisaya-odori Park」など5施設がオープン見込み。次いで「住友不動産ショッピングシティ羽田エアポートガーデン」などがオープンする東京都と、「イオンモール上尾」などがオープンする埼玉県が共に4施設で続いている。

20年上・下期を含めた最近のSCの特徴は、一つ目が大規模SCの出店が減少に転じ、中小規模の地域密着型SCが主流になってきたこと。二つ目は都心、郊外立地にかかわらず、商業施設だけでなく劇場や体験型施設やオフィスを併設した複合型の傾向が強まっていること。例えば今年6月にオープンした住友不動産ショッピングシティ有明ガーデンの場合、200店舗超の商業施設だけでなく、ホテル、劇場型ホール、約6800㎡の広大な緑地、大規模天然温泉などを備えた大型複合ショッピングセンターとなっている。三つ目は共用部などをゆったりとり、緑の多い広場などをつくり地域との交流を強めていること。20年上期でいえば立川の昭和記念公園そばにできた「GREEN SPRINGS」は大規模ホール、ホテル、オフィス、ショップ&レストランに加え、街区の中央には約1万㎡の広大な広場を備えている。

既存SC売上高の前年同月比伸長率の推移

既存SC売上高の前年同月比伸長率の推移(日本ショッピングセンター協会定例記者懇談会配布資料より抜粋)

2020年は新型コロナの影響で流通業界にも大逆風が吹いている。SC協会が発表している2020年上期のSC販売統計調査によると、新型コロナウイルスの影響が年初から出始め、4月の緊急事態宣言発令に伴い、自主的な営業自粛や時短営業が実施されたことで既存SC売上高が大幅に減少した。1月が1.3%減、2月3.3%減、3月28.0%減。緊急事態宣言が出た4月(68.8%減)と5月(61.4%減)は6割以上落ち込んだものの、6月は15.0%減(速報値)までに回復している。

テナントとキーテナントで減少幅に格差がみられ、20年2月のテナントが3.8%減に対しキーテナントは1.4%減、3月がテナント30.7%減に対しキーテナント16.3%減、4月が76.2%減に対し37.2%減、5月が69.1%減に対し28.2%減、6月(速報値)が17.1%減に対し7.2%減。これはコロナの感染拡大に伴い各SCのテナントに休業、時短営業が拡がり、生活必需品を扱うキーテナントの食品スーパーやGMSも自粛をしながらも営業を継続できたことなどが一因といえる。SCの休業により大きな痛手を被ったテナントに対し、デベロッパーの中にはテナント支援策として「テナント賃料の減免」を実施する動きもみられた。

SC協会としてもコロナ対策に取り組み、政府などへの要望書等および会員への情報発信に注力してきた。東京都の外出自粛要請による緊急事態措置においてSC協会は休業要請施設の範囲を明確化するよう東京都に強く要請。その結果、SC内において生活必需物資等を取り扱う店舗については社会生活を維持する上で必要な施設として営業継続対象として取り扱われるようになった。

緊急経済対策では、流通8団体と連名で経済産業大臣宛の要望書を提出。事業収入が相当に減少した施設所有者等に対する固定資産税の減免を企業規模に関わらず行うこと、およびテナント事業者等に対する持続化給付金の充実と企業規模要件の撤廃を求めた。中小・小規模事業者に対する固定資産税の減免措置は第1次補正予算で成立した。テナント家賃支援策に関しては流通2団体と連名で経済産業大臣、国土交通大臣、自民党宛の要望書を提出。テナント事業者のみならず施設所有者等の賃貸人への直接の助成措置、その対象を企業規模で制限しないこと等を求めた。その結果、テナント事業者向けの家賃支援給付金が第2次補正予算で成立。また、「地方創生臨時交付金」が第2次補正予算で増額され、その使途の一つとして、地方自治体による「家賃支援を含む事業継続支援」が追加された。