2022年01月28日

パスワード

にんべん、吸物やにゅうめんなど 手軽に食べられるギフト商品を拡充

にんべんは今秋冬のギフト商戦に向け、「至福の一椀 お吸物もなか」、「だし薫る にゅうめん」を発売した。どちらも熱湯を注ぐだけで簡単に調理できる商品で、伸長する中食需要に照準を定めた。お吸物もなかは見映えの良さを重視し、手土産や慶事ギフトとして訴求。だし薫るにゅうめんは、ギフトニーズでも人気が高いにゅうめんにかつお節のだしを効かせ、トッピングにもかつお節を付けるなどして他社との差異化を図った。秋冬のギフト商戦の最大のヤマは歳暮だが、コロナ禍以降は百貨店のギフトセンターの面積が縮小するなど逆風も吹いている。パーソナルギフト、自宅用など様々なニーズに応えられる商品を揃え、売上げの漸減を食い止めたい考えだ。

最近は少子高齢化、核家族化、女性の社会進出の増加といった社会環境の変化を背景に、惣菜やインスタント食品のニーズは高まっている。日本惣菜協会の発表によると、惣菜市場は2019年まで10年連続で伸張し、10兆円を超える規模となった。2020年はコロナ禍の影響で微減となったが、にんべんの中元・歳暮商戦でも惣菜や煮魚、フリーズドライの汁物などの人気が上昇しており、商機とみた。

 

華やかな見た目でギフト需要狙う「至福の一椀 お吸物もなか」

「至福の一椀 お吸物もなか」は10月1日に発売。にんべんならではの風味豊かなだしと、選び抜かれた具材をもなかで包んでいる。もなかの型は「かつお」、「えくぼ」、「さくら」の3種類あり、かつおは同社のオリジナル。皮の色はピンクと白と茶の3種類があり、ピンクと白は同社の「白だしゴールド」を、茶色は「つゆの素ゴールド」を練り込んでおり、皮まで美味しく食べられる。器に入れたもなかに穴をあけ、熱湯を注ぐだけで、簡単に完成する。

単品は全8種類のバリエーションがある。上から「かつお」、「さくら」、「えくぼ」

オリジナルのかつお型は、にんべんならではの独自性を打ち出すために考案した。一般的にもなかの皮は凹凸が多いと輸送の際に破損しやすくなってしまうため、開発には苦労したという。「リスクは減らしたいが、かつおらしさが無くならないように何度も検討を重ねた」と経営企画部商品サービスグループ部長の豊田義徳氏は振り返る。

具材も様々な種類を揃えており、単品では「<湯葉>かつお(茶)」、「<湯葉>かつお(ピンク)」、「<かきたま>かつお(白)」、「<なすと油揚げ>さくら(茶)」、「<真鯛>さくら(白)」、「<とろろ昆布>えくぼ(茶)」、「<あおさ>えくぼ(白)」の7種類がある。単品の価格は388~421円。

「紅白かつお詰合せ」は引き出物などに適している

単品だけでなく、セット商品も用意した。<かきたま>かつお(白)と<湯葉>かつお(ピンク)が各1個入る「紅白かつお詰合せ」(864円)は、引出物をはじめとした慶事ギフトの利用を想定した。紅白の色合いであることに加え、かつおは「勝魚」とも呼ばれ、昔から縁起の良いものとされている。そのほか、様々な味を詰め合わせた8個入(3240円)、13個入(5400円)もある。

商品化の経緯としては、同社は2017年にフリーズドライのみそ汁・吸物の詰合せ「至福の一椀 おみそ汁・お吸い物」を発売しており、お吸物もなかはこれの延長線上として考えたという。おみそ汁・お吸い物は単品では自宅用の購入が多いことから、よりギフト向けに、華やかな見た目の商品を企画。パッケージも透明なフィルムを採用し、中の商品が見えるようにした。「単品は、ご自宅で楽しんでいただくのはもちろん、ちょっとした手土産としての利用も狙った」(豊田氏)。

コレド室町1の1階に構える日本橋本店は、遠方から訪れる客や、目的買いではない客が多いため、周囲の知人に配る土産用や、「せっかくなのでにんべんでも何か一品買いたい」と考えて値頃な同商品を買うケースが多いそうだ。さっそく狙い通りの成果を生んだが、今後は百貨店のギフトカタログなどの掲載も増やし、ギフト商品として成長させる構えだ。

 

麺類人気に着目 かつお節をトッピングする「にゅうめん」

3種類の味を用意した。いずれも化学調味料は不使用

「だし薫る にゅうめん」は9月1日に発売。価格は756円で、甘辛く煮たあさりが際立つ「あさり」、山菜とゆばが同時に楽しめる「山菜ゆば」、香ばしいうまみの「焼甘鯛」の3種類がある。つゆは麺や具材に合う白だしをベースとし、香りにもこだわった。トッピングとして乾燥ねぎとかつお節も用意し、豊かな風味を楽しめる。麺は小豆島手延そうめんを使用した。

同商品は、にゅうめんのギフトニーズが高いことから商品化した。にゅうめん自体は既に様々な企業が出しているため、トッピングにかつお節を用いたり、つゆにかつお節だしを効かせたりなどして独自性を出した。発売以降は自宅用として購入するほか、実家の親宛に送るなど、カジュアルな贈り物としての用途が目立つという。「火を使わなくても食べられるため、安心して贈れるようだ」と豊田氏は推察する。

「野菜を美味しく食べるたれ」は「うま塩」と「ごま」を追加した

惣菜系以外では、人気シリーズに新フレーバーを投入するなどしてバリエーションを増やし、売上げの底上げを図っている。液体調味料「野菜を美味しく食べるたれ」シリーズでは、新フレーバーの「うま塩」と「ごま」を10月12日に発売。うま塩はレモン果汁、にんにくが入っており、うまみが素材の味を引き立てる。ごまは濃厚な味わいが特徴。うま塩とごまは、人気の高いフレーバーであることから選定した。容量は200mlで、価格はうま塩が540円、ごまが594円。

ふっくらと調理された厳選素材を用いた「至福の一碗 だし茶漬け」では、「かつお生姜」を10月1日に発売。かつおを加熱処理した後一度だけ燻製したかつおなまり節と生姜を本醸造特級醤油で上品に仕上げており、かつお生姜のさわやかな風味を楽しめる。価格は540円。

こうした惣菜や調味料を増やすのは売上げだけでなく、顧客接点を増やし、鰹節やだしの魅力に触れてもらうという狙いもある。にんべんは1699年の創業以降、鰹節の製造・販売を主として手掛けるが、鰹節からだしを取る人の数は減少傾向が続く。だしをふんだんに用いた商品によって〝だしの美味しさ〟を知ってもらい、長期的な顧客となるきっかけにもしたい考えだ。