2021年10月21日

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大丸東京店、おせちは“おつまみ風”の強化で前年比1割増を狙う

大丸東京店は9月22日、報道陣におせちを披露した

大丸東京店は「おせち商戦」で“おつまみ風”を強化し、売上げを昨年の1.1倍、一昨年の約1.5倍に引き上げる。おつまみ風とは酒類と相性が良い料理の詰め合わせで、昨年の商戦を牽引したため、品揃えを1種類から2種類に増やすとともに、和風を“酒場詩人”として知られる吉田類氏が、洋風をソムリエの田崎真也氏が監修。料理の魅力を高めた。おせちのラインナップも、昨年の261種類から270種類に拡充。昨年より1週間早く店舗の1階でパネルの展示を始めるなど、来店客へのPRにも力を入れ、今年も増収を達成する。同店での販売期間は9月22日~12月22日。

大丸東京店の1階には、昨年のおせちのランキングや新作などを掲出。店舗の外からも見える仕様で、客足を呼び込む

百貨店業界ではコロナ禍の前から、おせちの売上げが好調だ。共働き世帯の増加や高齢化などを背景に、おせちは「作る」から「買う」に変化。百貨店が受け皿を担い、右肩上がりを描いてきた。コロナ禍で活発化した「イエナカ消費」が勢いに弾みを付け、大丸東京店では昨年の売上げが一昨年の約1.4倍に伸長。コロナ禍で近隣のビジネスパーソンや旅行者、出張者らの来店が大幅に減ったものの、インターネット通販が売上げの約8割を占めるほど盛況で、全体を押し上げた。

新客の開拓にも繋がった。「大丸松坂屋カード」を持たない客の売上げが前年の1.2倍を記録。年齢では30~40代、地域では東京都内が多かったという。

太葉田大大丸東京店営業2部惣菜・弁当担当サブマネジャーは、好結果の理由を「コロナ禍で海外旅行を断念した方々の買上げが多かったのではないか。自宅だけでなく、実家にも買って送る方が目立ち、結果的として販売台数が増えた」と分析する。

売れ行きが良かったのは、おつまみ風をはじめ、料理研究家の大原千鶴さんが監修する「口福おせち」、「京都 彩宴」の「天禄」「祥鳳」、一流料理人である陳建一氏、落合務氏、中村孝明氏が監修する「和・洋・中の三巨匠共演おせち」。太葉田氏は「大原千鶴さんが監修する口福おせちは昨年で第3弾だったが、お客様の要望を踏まえて中身をブラッシュアップしてきた効果もあり、売上げは右肩上がり。京都 彩宴の天禄は45品で税込み1万800円祥鳳は56品で同2万1600円と、ボリュームとコストパフォーマンスが評価されている。和・洋・中の三巨匠共演おせちは子供も食べやすい」と説明する。


料理研究家の大原千鶴さんが監修したおせちは、売上げが右肩上がり
今年の品揃えには、こうした昨年のデータを反映。例えば、おつまみ風は吉田類氏と田崎真也氏に監修を依頼した。吉田氏の「おつまみ玉手箱」は37品、田崎氏の「25 アミューズ・グール」は38品で、ともに価格は税込み1万6200円。料理の上には、どの酒が合うかを示すシートが載せられており、“マリアージュ”を楽しめる。


ソムリエの田崎真也氏が監修した「25 アミューズ・グール」 


吉田類氏が監修した「おつまみ玉手箱」と田崎真也氏が監修した「25 アミューズ・グール」には、料理と合う酒を指南するシートも用意 

一方、太葉田氏のイチオシは「釜津田」の「洋風 二段」(税込み3万7800円)「洋風オードブル 三段」(冷蔵、同1万2960円)だ。本社のバイヤーが何年も費やして口説き落とした“予約が取れない名店”で、大丸松坂屋百貨店はもちろん、百貨店業界でも初登場という。石川県・能登の食材をふんだんに使った洋風 二段は16品、合鴨やサーモンなどを用いたオリジナルのテリーヌからなる洋風オードブル 三段は9品で、いずれも監修ではなく、オーナーシェフの釜津田健氏が自ら手掛ける。

太葉田氏は「昨年初めておせちを買ったお客様を、どうリピーター化できるか。勝負の2年目」と意気込む。広域に配送できる冷凍のおせちの種類を約3割増やしたり、「ダロワイヨ」や「RF1」といった“デパ地下”でなじみのあるブランド、「俺のフレンチ」など催事で人気のブランドを初登場させたり、おせちのカタログでは初めて「肉」を特集したり、様々な工夫を凝らして勝負の2年目を乗り越える。