2024年04月20日

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玉川高島屋、ARナビアプリを導入 屋内の立体的な案内可能に

スマホのカメラで撮影した道の上にナビが表示される

玉川高島屋S・Cは6月22日からショッピングセンターで初の試みとなる館内ARナビゲーションアプリを館内・外のルート案内に導入した。これまで館内および別館へのアクセスに対するインフォメーションが多くあり、感染予防対策としても館内での対話を極力避けるため、さらには本館・南館だけでなく、周辺店舗も含めて顧客利便性の向上に向けて導入を決めた。

開始した館内ARナビゲーションアプリはモバイル通信のクロスボーダー・ソリューションを世界規模で提供するテレコムスクエアが開発・提供する「PinnAR(ピナー)」。ピナーはカメラで写した実際の風景上に、道路に沿う形でルートを表示する「ARナビ画面」と、従来の地図アプリでよく使われるマップ上にルートが表示された「マップ画面」両方を切り替えて利用できる。これまでに累計130万ダウンロードされている、地図が読めなくても迷わない便利な地図アプリ。

玉川高島屋S・Cで稼働したピナーは屋内でも現在地を測定しナビゲーションできる。顧客が今見えている光景で自身のスマートフォンに目的地までのルートが表示されるため、進むべき方向が一目でわかり目的地にたどり着くことが可能だ。ルートを外れても自動的にルートを再設定したり、ビーコンやWi-Fiを掛け合わせた独自技術の活用により今まで難しかった階層をまたいだナビゲーションも可能とした。

玉川高島屋S・Cを運営する東神開発の副社長宇都宮優子氏は「大きな街ですので車、電車、徒歩で来られる周辺の方など多様なお客様に向けて、どうインフォメーションするかは非常に大きな課題でした。玉川高島屋S・Cではコロナ禍で今までご来店のなかった新しいお客様が増えており非接触で案内することや、購買履歴だけでなく移動履歴からニーズを細やかに察知できる、まさに時代に合ったサービスであると実感しています」とコメントした。

ピナーは顧客データをもとに、来場者の行動履歴をもとにしたマーケティングも可能とした。例えばA、B、Cという順に店舗に立ち寄ったのち実際にBで商品を購入したといった具合だ。またInstagramとYouTubeを活用し店舗の情報を画像や動画で発信するなど活用の幅も広い。

新宿駅周辺にも導入されており「広くてわかりにくい駅でもどちらに向かえばよいか一目でわかる」(利用者)と好評だ

まずは本館・南館の館内(百貨店内含む)から利用可能になり、順次西館・東館・マロニエコートなどの館内および周辺エリアへ案内を拡大する予定。今後本館・南館の館内案内だけでなく、隣接する複数の別館をシームレスに案内できるようになると、いつもと違った買い物ルートの提案など、回遊性を向上させ、周辺施設への送客効果による経済の活性化、賑わい創出などの効果が見込まれ、さらに館内ナビゲーション以外に各ショップで利用可能なクーポンの発行や館内のイベント情報などもピナーを通じて発信していく予定。

ピナーによる案内可能エリア(21年6月時点)は、玉川高島屋S・Cの本館・南館の専門店各ショップ、高島屋(本館)の各フロア。タカシマヤカードポイント交換機、ベビー休憩室、喫煙所、免税カウンター、休憩スペースなどサービス・アメニティ施設も案内対象となっている。

ピナーの導入には初期費用と月の保守費用(どちらも館の広さや店舗数により上下)などがかかる。現在は依頼から導入まで3カ月程度で可能だ。テレコムスクエアは「初年度で100施設への導入を目標」としている。