2021年11月27日

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大戸屋、惣菜小売業でデパ地下に進出 認知度の高さ武器に

デパ地下惣菜へ大手定食チェーンから〝新勢力〟が現れた。大戸屋は今春、惣菜小売業態「大戸屋 おかず処」を展開。デパ地下を主販路に定め、2月に西武池袋本店、3月にそごう横浜店へ期間限定で出店したところ「慣れ親しんだ大戸屋の味が家で楽しめる」と好評を博し、予想を超える売れ行きとなった。同社はさらにそごう千葉店、大丸東京店、ペリエ千葉、高島屋柏店といずれも期間限定だが出店を広げ、いずれは常設展開も始める構えだ。

素材の味を引き出す出汁の力に着目した

大戸屋 おかず処のメニューは外食店舗のものをベースとしており、どれも国産野菜や厳選した出汁を使用。大戸屋の強みである無添加であることや、栄養バランスの良さも生かした。惣菜と弁当の2種類がメインだが、惣菜の中でも副菜は栄養バランスをよりいっそう意識。弁当は幕の内弁当や御膳などにメニューを絞り込んだ。

惣菜は和の惣菜に最適な鰹出汁、鶏出汁、昆布出汁、野菜出汁の4種類を料理との相性を見極めて使い分ける。大戸屋の代表的なメニューである「国産鶏の黒酢あん」(600円)、同じく黒酢あんを使用した「三元豚といろいろ野菜の黒酢あん」(800円)をはじめ、「お野菜たっぷりの筑前煮」(400円)、「国産鶏手羽先と大根の煮物」(600円)、「国産鶏の醤油麹漬け焼き」(400円)などが並ぶ。

他の惣菜ショップと同様、弁当は人気が高い

弁当は、惣菜を少しずつ多種類を楽しめるように留意。黒酢あんのおかずをメインにした「国産鶏の黒酢あん弁当」(800円)、「三元豚の黒酢あん弁当」(800円)、「すけそう鱈の黒酢あん弁当」(800円)や、弁当の新たなトレンドである「のり弁」スタイルの「海苔幕の内弁当」(1000円)、少し贅沢な「大戸屋御膳弁当」(1500円)などを揃える。

惣菜と弁当のほかには、家庭で料理に使用できる「生ふりかけ 鮭とじゃこ梅」(400円)、「豆鼓黒酢ソース」(700円)「大戸屋の合わせ出汁」(1250円)なども販売。品揃えは店舗や日にちによって異なる。

人気が高いのは弁当だ。「デパ地下では気軽に手に取りやすい価格のものと、贅沢をしたいときに買う1000円以上の『ちょっといいもの』が支持される傾向にあるが、その両方を揃えているのがよかった」と商品マーケティング本部マーケティング部部長の村田知史氏は分析する。惣菜単品では鶏の黒酢あん、「甘辛きんぴらごぼう」(400円)、「明太チーズの出汁巻き卵」(400円)、「豚の冷しゃぶサラダ」(400円)などが支持を集めている。

こうした惣菜小売業態を始めたきっかけについて、村田氏は「もともと家でも大戸屋のご飯を食べてほしいという気持ちはあった」と説明する。中食や内食需要が年々高まりを見せ、外食・中食・内食の隔たりがなくなっているという時代背景もあり、コロナ禍前から計画は進んでいたという。

そこに昨春コロナ禍が襲い、計画は急ピッチで進むことになる。深刻な打撃を受けた外食部門を補うべく、昨夏から実現に向けて動き出した。素材や製法にこだわる大戸屋のブランドメッセージを伝えやすいのはデパ地下と考え、主販路はデパ地下に定めた。

百貨店へ飛び込み営業を行うなど積極的な働きかけが実り、まずは今年2月に西武池袋本店(2月24日~3月9日)での期間限定の出店が決定した。店舗が西武池袋本店となった理由は、「池袋は大戸屋創業の地で、〝ホーム〟であるため」(村田氏)。客からの認知度も高く、勝算は高いと判断した。商品の開発は約2カ月でスピーディーに行った。

出店期間中は目論見通り、大戸屋に親しみのある客が多く手に取り、盛況の内に終わった。売上げは予算を上回り、主力商品の「すけそう鱈の黒酢あん」は完売したほどだった。

その後もそごう横浜店(3月30日~4月12日)、そごう千葉店(4月22日~5月5日)、大丸東京店(6月1日~30日)、ペリエ千葉店(6月7日~7月11日)、高島屋柏店(6月23~7月13日)と、期間限定だが順調に出店先を拡大している。いずれも「通り掛かったお客様が『あの大戸屋が出しているんだ』とまずそこで目に留まり、手に取っていただいている」(村田氏)と、認知度の高さをきっかけに購買に繋がっている。

今後も出店を続け、常設での展開も目指す。既に出店しているペリエ千葉店など、百貨店以外の商業施設も視野に入れているという。村田氏は「外食でも他店と比べて遜色のないクオリティと自負している」と商品への自信を覗かせ、「惣菜小売業態でもどんどん勝負していきたい」と意気込みをみせた。