2021年10月21日

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<ストレポ4月号掲載>リアルを磨く攻めの改装

ここ数年来の百貨店の改装で強化してきたカテゴリーは、ラグジュアリー(特選・時計・宝飾)とビューティー(美と健康)、フード(食・飲食)で、百貨店の「強み」を発揮できる領域である。これらの拡充に伴い、ファッション雑貨や生活雑貨の再編と、低迷が続く婦人服、紳士服の売場面積規模の適正化が進みつつある。いわばカテゴリーバランスの再編と共に、従来型の百貨店MDにとらわれない専門店(テナント)の導入も活発化しており、これに伴い従来の百貨店と専門店運営との融合を図り、安定的収益を確保していくための店舗構造改革に取り組み、新しい百貨店のビジネスモデルの構築に挑んでいる。

※この記事は、月刊ストアーズレポート2021年4月号に掲載する特集「リアルを磨く攻めの改装」(全18ページ)の一部を紹介します。購読される方は、こちらからご注文ください。(その他4月号の内容はこちらからご確認いただけます)

多くの百貨店は、百貨店MDと専門店の融合、地域との融合(共生)、並びにオンラインとの融合という「ハイブリッド型の新百貨店モデル」への転換期の真っ只中だ。要は百貨店の強みである目利き力・編集力を生かしながら、対象顧客のライフスタイルの変化に寄り添った価値あるモノ・コト、トキ(過ごす時間)を提供できるかどうかである。

この春、大都市の基幹百貨店の改装では、コロナ禍でも比較的堅実な領域である食品の刷新が目立つ。「デパ地下」は百貨店の強みに違いないが、駅ビルや駅ナカ、複合商業施設などがフード(食物販・飲食)領域を拡充しており、業際なき競合は熾烈化の一途だ。各百貨店各様に「デパ地下」の魅力化が欠かせない。

この「デパ地下」を約1.5倍に増床したのが髙島屋横浜店だ(詳細別掲)。19年秋から4期に亘り増床・改装を進め、コロナ禍で緊急事態宣言下の3月8日に完成させた。同店に隣接する商業施設「相鉄ジョイナス」地下1階のエリアの一部に食品売場を拡張。売場面積は約1700平米で、本館の既存エリアと合わせると約5000平米に及ぶ国内最大級の「デパ地下」に生まれ変わった。増床・改装を機に本館エリアを「フーディーズポート1(ワン)」、増床エリアを「フーディーズポート2(ツー)」に改称し、いわば同店ならではの「デパ地下」のブランド化に取り組んだ。

東急百貨店は昨年9月から3期に分けて「渋谷東急フードショー」(旧東横店地下1階)の全面改装を進めており、6月に第2弾が完成し、7月にグランドオープンを迎える。昨年9月に渋谷マークシティ地下1階に生鮮・グロサリーを移設し、6月は渋谷マークシティ1階にスイーツゾーンを設け、最終の7月には渋谷地下街にデリゾーンをオープンさせる。話題性、利便性、日常性などテーマに基づき編集して、「新たな発見と街歩きの楽しさ」を存分に楽しめる「渋谷随一のエンターテインメントフードエリア」の創出に挑む。

 

■髙島屋横浜店 「フーディーズポート」増床完成

ライブ感とトレンドにこだわり 地元・横浜の快適フード空間創出

髙島屋横浜店が19年秋から4期に亘り進めてきた地下1階食品フロアの増床・改装が3月8日に完成した。隣接する商業施設「相鉄ジョイナス」の地下1階一部に食品売場を新設した増床で、売場面積は1.5倍の約5000平米に広がった。増床エリアでは、30代、40代の次世代顧客と近隣で増加傾向のオフィスワーカーの集客を意識し、百貨店の強みであるスイーツ、酒、ベーカリー、グロサリーを拡大し、ライブ感とトレンド感にこだわり、エンターテインメント性をさらに強めた同店ならではの新たなフード空間を構築した。新規に約50区画がオープンし、既存の本館食品フロアと合わせて約200区画を有する国内最大級の「デパ地下」へと生まれ変わった。

■そごう横浜店 メンズライフスタイルゾーン

男性の新しい生活様式に即応 顔まわりの身だしなみ提案軸に

そごう横浜店が5階紳士服フロアのほぼ中央に2月26日に新設した「メンズライフスタイルゾーン」は、コロナ禍で変化した男性の生活様式に対応していくための新しい売場だ。売場面積は約950平米(レジ通路など除く)で、同フロアの約2割を占める。大幅に拡大したメンズビューティー、都会的アウトドアスタイルに対応する新たなメンズカジュアル(アウトドアカジュアル)ゾーン、関心が高まっているゴルフ売場で構成する。いずれもコロナ禍でも実績が堅調な領域で、マーケットの変化に即応した格好だ。百貨店の紳士服フロアはここ数年来、活性化策が問われているだけに、同店の新しい挑戦が注目される。

■京王聖蹟桜ヶ丘店 全館規模の店舗構造改革

婦人・紳士服の面積規模適正化 組織体制と人員配置も再編成

京王百貨店聖蹟桜ヶ丘店はこの春、大規模な改装に着手し、4月15日に改装グランドオープンする。6階部分の返還に伴う改装で、既存の主要顧客を維持しながら、40~50代の次世代顧客の獲得を目的に、百貨店ならではの「ハレの日MD」の拡充とデイリーニーズへの対応強化の両面から、地域・沿線顧客のマイストア化による地域性の向上と自主編集による独自性の強化に取り組む。併せて婦人服と紳士服の売場面積の規模適正化を図り、カテゴリーバランスを再構築する。改装に伴い組織体制と人員配置の見直しによる店舗運営の改革にも取り組んでおり、多くの郊外型百貨店の命題である収益力向上を目指した店舗構造改革に挑戦している。

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