2025年11月10日

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オンワード樫山、自社ラグジュアリーブランド「セアン」の旗艦店をオープン

1階では最新コレクションを展示、販売する

オンワード樫山は10月31日、ファッションブランド「SCEAN(セアン)」の旗艦店「SCEARN AOYAMA」をオープンした。セアンは同社オリジナルのデイリーラグジュアリーブランドで、昨秋にデビューした。これまではポップアップで展開していたが、ブランドの価値観を体感できる場として、東京・北青山に店を開いた。

セアンは日本の伝統美をモダンに再解釈したブランドで、「世界から見た日本の魅力」と「日本が受け継いできた伝統や技術」の両方を取り入れている。コンセプトは「聞香・瞑想・伝統=心の声を聴き、自分と向き合い、自分らしさを見失わず」で、洗練されたミニマルなデザイン、産地や製法にこだわった素材を特徴とする。

SCEARN AOYAMAは、韓国・ソウルを拠点とするクリエイター集団「Creative Studio Unravel」が空間デザインを担当した。「日本の庭園が持つ余白の美」をインスピレーション源に、訪れる人の五感を刺激する空間を提供する。2フロア構成で、1階は最新コレクションを展示・販売する。2階はギャラリー「リ ギャラリー セアン」として、日本の文化にまつわる作品の展示・販売に加え、衣食住の体験を通じた日本の伝統美の発信を行う。

1階の接客スペース。採光や調度品にもこだわり抜いている

随所で、セアンのブランド名の由来である「hear the scent」(聞香)を体験できる。聞香とは、日本の芸道「香道」において、香りを鑑賞する行為を指す。1階は入口でみずみずしい苔や深い緑の香り、奥で朝の陽光を連想させる香りが広がり、2種の香りの変化を楽しめる。2階のギャラリーでは11~12月に、香道直心流師範の髙野香聖氏によるワークショップを開催する。

セアンはジャケットが20万円、コートが40万円など、オンワード樫山の中でも高価格帯に位置するが、これまで伊勢丹新宿本店と阪急うめだ本店で行ったポップアップは好調だった。旗艦店を構えることで認知度を高め、さらなる規模拡大やブランディングの確立を図る。

(都築いづみ)