2026年10月02日

パスワード

購読会員記事

高島屋と文京学院大、AIと伝統工芸職人の協働で「江戸小紋」

約1年の試行錯誤を経て誕生した

高島屋は10月7日から、文京学院大学との産学連携プロジェクト「令和小紋プロジェクト」で開発した「江戸小紋」の新作2柄を日本橋店、京都店、大阪店、横浜店、新宿店、ジェイアール名古屋タカシマヤで販売する。同大学は消滅の危機に直面する江戸小紋の図案制作を支援するAI システムを開発。伝統工芸士の型紙職人や染色職人が監修・制作を担い、AIと職人が協働し、江戸小紋を未来へつなぐ。

高島屋は古着木綿商として創業以来、主要事業の一つとして着物文化、伝統技術の未来への継承に取り組んでいる。文京学院大学は2019年に「AI関連技術を用いたデザイン分類研究」に着手。24年に独自のAIシステムによる「スイーツ尽くし小紋」を商品化した。両者は昨年に産学包括連携協定を締結し、「ヒトかけるAIの共生による地域産業活性化プロジェクト」を開始。「令和小紋プロジェクト」はその一環だ。

江戸小紋は、細かな模様が配置された型紙で染める江戸時代から続く伝統工芸で、特に複数の模様をランダムに配置する「けれんもの」と呼ばれる柄は、高度な図案制作技術を要する。現在は着物市場が縮小し、職人が高齢化。新たな図案を生み出せる熟練の図案家が減少しており、AIと職人が協働する新しいものづくりの実証として令和小紋プロジェクトがスタートした。

文京学院大学のAIシステムが生成した図案は、そのままでは製品にはならない。モチーフの向きや配置、染め上がり時の見え方など、最終的な判断には職人の経験と感性が必要になる。AIはあくまでも図案づくりの支援、監修・調整は人の手で行われる。「AIが職人に代わる」のではなく、「AIが職人不足を補う」取り組みだ。

「オーケストラ」の図案。AIと人が協働した

今回は、髙島屋の呉服部バイヤーや若手社員、文京学院大学の学生のアイデアで、「オーケストラ」と「葡萄と栗鼠(ぶどうとりす)」の2 柄が生まれた。AI が点描化とモチーフをランダムに配置する図案生成を担い、伊勢型紙の伝統技法「錐彫り」で型紙を制作した。そして、型紙の模様を生地に写し取る「型付け」、色糊を生地全体に塗り広げる「しごき染め」といった工程を経た。一点一点丁寧に染め上げ、約1年かけて商品化した。

オーケストラ は橡(つるばみ)/深緋(こきひ)、樺茶(かばちゃ)/黄支子(きくちなし)、曙(あけぼの)、 水浅葱(みずあさぎ)、若竹(わかたけ)、葡萄と栗鼠 は樺茶(かばちゃ)/黄支子(きくちなし)、滅紫(けしむらさき)、曙(あけぼの)、水浅葱(みず あさぎ)、若竹(わかたけ)と、日本の伝統色から名付けた。一部はバイカラー仕様になっている。共に反物販売(表地・八掛付き)で、仕立ててから2027 年1月以降の渡しとなる。価格は33万円~。

販売は、10月7~13日は日本橋店本館7階呉服サロン、10月21~27日は京都店5階呉服売場、11月4~10日は大阪店6階きもの売場、11月18~24日はジェイアール名古屋タカシマヤ11階呉服売場、12月2~8日は横浜店7階特選呉服、12月16~22日は新宿店11階呉服サロンで行う。