2026年02月06日

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松屋浅草店、5年ぶり37回目の「古書の市」開催 貴重な文献が一堂に

美術館レベルの貴重な商品もある「浅草 古書の市」会場の様子

松屋浅草店は4~9日、3階イベントスペースで「浅草 古書の市」を開催している。「古書の市」は1984年から2020年まで年に1度、銀座店で開催されていたが、コロナ禍で休止。今回5年ぶりに復活し、浅草店で初開催となった。関東圏を中心に14の書店が出店し、和本や浮世絵、錦絵、歴史的文献など各店の秘蔵品、名品が一堂に会する。初日には開店と同時に100人を超す客が詰め掛けるほどの賑わいを見せた。

「日本書房」が出品する菱川師宣画、江戸中期刊「古風之當流 武者桜」

古書を扱う催事は多くの百貨店で行われていたが、昨今は減少傾向にある。貴重な機会となりつつある今、コロナ禍の終息を受け、客からの要望もあり、松屋では満を持して開催された。テレビドラマの影響で江戸、明治文化が脚光を浴びていることも背景にある。「初日には九州から来店くださった方もいる。遠方の方で週末を利用して来店予定の方がいるとも聞いており、予想以上の反響」と、個人外商部商品企画課商品企画係担当課長の藤原浩二氏は語る。

手に取りじっくりと鑑賞する客

古書の市は、専門的、マニアックな趣味を持つことが多い男性の、百貨店における居場所の受け皿的に始まった。そのためか来店客は8割が男性だ。中には研究者もおり、日本で出版された自国の書物を求めて来店する中国籍の客もいるという。「各書店のスタッフは相当な専門知識を持っていて、その解説を聞くのも楽しみの1つになるのでは」(同)。

岩崎灌園常正による日本初の植物図鑑「本草図譜 大正版」を手にする「鳥海書房」の主人

各店舗では実際に古書を手に取ることができ、保存状態から歴史・文化的価値、古書にまつわる基礎的な知識、専門的な解説まであらゆることが聞ける。普段古書に親しみがなくても、スタッフの造詣の深さに触れると、博物館や美術館を訪れているような楽しさが味わえる。

「古書 リネン堂」が出品する数々の商品にはおもちゃや缶もある

「浅草店で初開催するにあたり、半数近くは初出店の書店」(同)。品揃えは、各書店が所蔵品を厳選しており、百貨店を意識しているという。1000円程度の絵葉書やアンティーク缶、おもちゃから数百万円の書や掛け軸まで多岐にわたり、浅草という場所柄、インバウンドに訴求する浮世絵なども揃える書店もある。力士の手形入りサインなどもあり、手に取りやすい品も並ぶ。

中には松屋にまつわる出品もあった

「古書がインターネットでも購入できる時代だが、ここでは実際に手に取り、スタッフの解説も聞きながら実体験として魅力に触れられる。各地に点在する書店を訪ねずとも、古書が一堂に会する貴重な機会として、今後も続けていきたい」(同)。

(北野智子)