2023年12月03日

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三浦屋と成城石井、創業100周年に向けて新機軸

開発の発表会で展示した三浦屋のPB商品

高級スーパーの「三浦屋」と「成城石井」は、近く迎える創業100周年に向けて新たな取り組みを開始した。1924年に創業し来年100周年となる三浦屋は、他のスーパーにない強みとしてきたPBやこだわりの逸品など、バイヤーが全国を回り発掘、開発している商材のさらなる強化に乗り出す。3年後に100周年を迎える成城石井は、発祥である「成城店」の全面リニューアルに踏み切った。

三浦屋は大正13年(1924年)、吉祥寺に煮豆屋として創業した。昭和28年(1953年)には翌年からの学校給食法に先駆け、学校、病院、官公庁への集団給食食材の販売を開始。スーパーマーケット事業は現在、コピス吉祥寺店をはじめ、飯田橋ラムラ店、グルメエミオ武蔵関店など首都圏に7店舗を展開する。「ちょっといいもの美味しさ“再発見”」をコンセプトに、高品質な生鮮品から一般食品、こだわりのPB商品に加え、バイヤーが現地に足を運び全国から発掘してきた逸品も集積する。

店舗には、契約農家や各地の漁港などとの直接取引といった独自のルート、問屋通しの仕入れ商品のほか、約70カ国から厳選した商品を投入。さらにPBを約200種類(惣菜含む)も展開している。

三浦屋コピス吉祥寺店は、青果や魚・肉などに上質な産直を揃え、乾物類も豊富。諸国銘菓や話題の商品も取り揃える。周辺に居住する住民だけでなく20~30代のオフィスワーカ―の来店も多い三浦屋飯田橋ラムラ店にも、山形県産米沢牛、「岩手で育てたフランス赤鶏」、千葉産いも豚のウインナーなどのこだわりの食材や、人気の「三浦屋オリジナル珈琲」、「特別栽培米 新潟県栃尾限定こしひかり」、「仁多米こしひかり」、「何度でもかけたくなるビストロ秘伝のドレッシング」などに代表されるPB、御栗タルト(畑田本舗)、マヨネーズおかき(加藤製菓)、焼きモンブラン(モン.シェフ)などの人気の菓子や諸国銘菓がある。リカーの集積も多く、人気のワインは売上げシェアの5割を占める。

三浦屋飯田橋ラムラ店の三浦屋オリジナル(PB)コーナー

来年、三浦屋は創業100周年を迎える。これに先駆けて10月19日に、バイヤーによるPBやイチオシ、山陰フェアの商品開発・体験会が開かれ、注目のPB商品が紹介された。その1つが信州の老舗みそ蔵、山万加島屋商店の特製みそ「無添加蔵出し生みそ 豊穂」。ほんのり甘い白みそベースの昔ながらの優しい味わいで、原材料は信州産こしひかり、信州あずみの会で作った大豆、塩の3つのみとなっており、原材料から熟成、掘り出しまで全て手作業で行う。三浦屋のバイヤーが実際に現地で製造過程などを確認。味わいについて何度も議論を重ねた。「人の手で丁寧に時間をかけてつくった体にも心にも優しい味噌をお客様に提供したい」というバイヤーの情熱が実り、完成に至った。

2つ目のPBは「出雲の国三處郷 仁多米こしひかり」で、神話の郷・島根県の中でも有数の米どころ仁多郡三處郷の大自然の中で、丹精込めてつくられる極上のコシヒカリ。標高400m付近で栽培されており、田んぼに引かれる水は真夏でも水道水より冷たく、稲を元気に育てる。冷めても甘味、食感、風味がしっかりある最高クラスの米を三浦屋ブランドとして販売開始した。

3つ目は、年間5000本の販売数を誇る「何度でもかけたくなるビストロ秘伝のドレッシング」。約2年かけて開発や試作を繰り返して商品化された。にんじん、玉ねぎ、セロリ、にんにくなど野菜の旨味を豊富に感じられ、アンチョビとローストアーモンドを加えたクリーミーな味わいに、さらに隠し味に卵黄を入れてマイルドに仕上げている。

このほかには「国内産うなぎ蒲焼真空パック」、素材の味がそのまま生きる「このままでも飲みたくなる 絶品国産だし」、有機栽培煎茶「無垢の雫」、神戸酒心館×三浦屋特別コラボ「福寿×三浦屋100周年記念ラベル」、「三浦屋オリジナル珈琲じっくり低温焙煎」などがある。

バイヤーが全国から発掘してきたこだわりの逸品では、サーロインステーキ用の米沢牛や「SELA PEPPER 塩漬け生胡椒」、「クリスマスアイランド21 クリスマス島の塩」などを展開。今年4月に販売を開始した米沢牛は、精肉バイヤーが「美味しい牛肉を提供したい」との思いで足繁く米沢に通い、畜産農家と良好な関係を築き、三浦屋店舗での常時販売が実現した。

11月2日からは三浦屋各店で「山陰フェア」を開催。やきいも茶(コクヨー)、薄小倉(桂月堂)、宿禰餅(坂根屋)、島根県多伎町産干しいちじく(JAいずも多伎加工所)など、20年近く関わりをもつ島根県の物産を中心に展開されている。

改装後の「成城石井成城店」の外観(イメージ)

成城石井は、発祥の地である成城店を11月14日にリニューアルオープンする。現在の成城石井は、駅ナカやショッピングセンターの中の比較的コンパクトな規模の店舗が売上げの約7割を占める。しかしながらコロナ禍以降、客が自宅近くの店を利用するケースが強まり、住宅街の中の路面店の存在価値が見直されている。成城店の全面改装はこうした客の行動変化に対応。商品から店づくり、おもてなしまでのパワーを一段と上げ、成城石井の新旗艦店を確立する。

成城石井は1927年、成城に石井食料品店として創業。1976年にスーパーマーケットに転換した。食にこだわりをもつ客からの「こんなものを置いてほしい」、「これがおいしかった」という声に耳を傾け、商品や店づくりに反映させてきたことなどが、高品質で特徴ある店に成長させた。オイルショックを契機に、女性の社会進出を見越して惣菜の製造を強化。日本人の食の嗜好の変化を捉え、ほかのスーパーに先駆けワインの直輸入を開始した。新たな出店を可能とするための物流センターも整備。今では200を超える店舗数となっている。

「石井食料品店」時代の成城店

成城店の改装では“温故知新”をコンセプトに、「旗艦店としての能」、「店づくりの技」、「おもてなしの粋」、「バイヤーの術」の4つのキーワードで商品、店づくり、おもてなしをパワーアップさせる。旗艦店としての能では、“成城石井の新たな取り組みのすべては成城店からスタートさせる”の具現化に向け、成城店が初めて取り扱いをスタートするコースデリバリーの最新情報をSNSで情報発信し、来年初旬に成城店だけで使える顧客カードを発行する予定など、新たな取り組みを始める。

店づくりの技では、青果や肉、魚を選び自分で調理する客が少なくないことから、改めて生鮮三品の品質と品揃えを強化。加えて、成城店の顧客から支持が高い高品質な生鮮を生かした惣菜についても温故知新のコンセプトを反映させ、惣菜の復刻を視野に入れながらも、今だからできる最新の技を生かした店内製造の惣菜やデザートを投入。さらに今年4月に大阪に開業したベーカリー専門店「成城石井 BAKERY」の売れ筋アイテムも加える。

おもてなしの粋では、強みとしているギフトをクローズアップ。成城店だけのワンランク上のギフトを通年で提供する。社内包装検定1級取得者がギフトの包装に当たるほか、1万点を超える成城店の商品ラインナップからギフト選びに迷う客に対するサポート体制として、8000人を超える成城石井の従業員の中で43人しかいない最高の接客技術と認められた社内資格「プレミアムエプロン」保有者を複数名配置。好適品や最適な組み合わせなどを提案する。

バイヤーの術では、バイヤーの目利きを最大限に生かしたラインナップを実現する。生鮮三品の強化においては、成城石井の目利きバイヤーが成城店だけのために特別な仕入れを実施。例えば、進物にも利用できる高品質な果物、稀少性の高い黒毛和牛、冷凍していない鮪などが並ぶ。

(塚井明彦)