2024年04月28日

パスワード

購読会員記事

グランスタ東京にエキナカショールーミング店舗

グランスタ東京内にオープンしているエキナカショールーミング店舗「&found」

JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニー(以下JR-Cross)は大日本印刷(以下DNP)と協業し、実証実験第2弾となるエキナカショールーミング店舗「&found(アンドファウンド)」をJR東京駅のエキナカ商業施設「グランスタ東京」内に期間限定(2月10日~3月3日)で開いた。

コロナ禍をきっかけにインターネット通販の利用が拡大し、店舗のあり方に変化が求められている。生活者は商品を購入する際、以前にも増してネットを積極的に活用するようになった。ネットで商品を見付け検討した上で、実際に商品に触れるなどリアルな体験を求めて来店するようにもなった。D2Cの台頭により、メーカーも店舗を販売する場としてだけでなく生活者のリアルな反応を把握する場として活用する。

こうした傾向を踏まえ、JR-CrossとDNPはリアルな場としての駅の強みと、DNPが提供する新しい買い物体験を支援する「ストアDX」の技術やノウハウを掛け合わせ、アンドファウンドの実証実験を進める。JR-Crossが店舗の運営、出店企業の誘致、マーチャンダイジングを受け持ち、DNPが客の音声や行動などデータの収集・分析、店舗の空間設計、専用スタッフの教育・派遣を担う。

第1弾は、JR上野駅のエキナカ商業施設「エキュート上野」で22年7月15日~8月14日の1カ月間で行われた。エキュート初のレンタル体験ができるショールーミング店舗として、家電を中心に編集。平日は上野駅を利用する通勤客、土日には上野公園に出かける行楽客など、約8000人が来場した。「エキナカで新しい商品を体験できるのは楽しい」、「ちょっとした時間で新しいサービスを知ることができて良かった」といった好意的な意見が得られたという。

実証実験第2弾は「Well-beingな食」がテーマ

第2弾は、心と身体を満たす「Well-beingな食」をテーマに、旅行客やオフィスワーカーなど多様な東京駅利用者を対象に開催。テーマに沿って集められた商品やサービスを、専門のスタッフによる説明を受けながら気軽に試食・試飲、体験できる。音声データの取得などによるヒアリングに協力した来場者には、持ち帰り可能なサンプルや出店企業のECサイトなどで使用できるクーポンなどを渡し、移動中の新幹線や自宅など店舗外でも楽しんでもらう。

商品は6社の約30点を展示。サントリーは「オールフリー」、「のんある晩酌レモンサワー ノンアルコール」、「ノンアルでワインの休日」などのノンアルコール飲料、試食専門店のメグダイは「フォンドボービーフカレー」や「鶏肉と生姜のココナッツミルク煮パクチー入り」、「神戸牛肉まん」、キッコーマン食品は「亀甲萬本店醤油」や飲むおだしの「YOHAKU Drip」、障がい者自立支援機関の協同組合レインボー・カフェ・プロジェクトは「王様のおやつ ドライフルーツ」、JR東日本が運営するJRE MALLは能作の「ビアカップ」を展開。カゴメの野菜摂取量を推定する「ベジチェック」も体験できる。

アンドファウンドはエキナカのリアル店舗において、センシング(計測~数値化)のためにビーコンを設置するほか、来場者の行動や接客時の会話のデータを取得・解析し、顧客理解を深める情報としてフィードバックする「DNP店舗内CX解析サービス」を活用。店内に設置したカメラやマイクで画像と音声を取得し、購買行動や商品に対する反応などを出店企業にフィードバックする。

また、今回の実証実験ではJR東日本情報システムとの共同研究として、日立エルジーデータストレージ社製の「3D LiDARモーションセンサー」を用いて動線データを取得し、来場者の店内での行動を分析する。

(塚井明彦)