2024年07月18日

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ポンパドウル、玉ネギの端材を生かしたパンを共同開発

「玉ねぎパウダー」を使用した、風味豊かな4種類の新作が登場。全国26店舗とECサイトで販売を開始した

ポンパドウルは2日、玉ネギの端材からつくった「玉ねぎパウダー」を使用した「オニオンブレッド」を発売した。フードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN(アストラ・フード・プラン)と、吉野家ホールディングスとの協業で、“隠れフードロス”削減を目的としたプロジェクトによる新商品。吉野家の牛丼用玉ネギの端材を、ASTRA FOOD PLANが開発した、食品を乾燥して殺菌する装置「過熱蒸煎機」で粉末化し、ポンパドウルのパン生地に練り込んで焼き上げた。オニオンブレッドは4種類で、店舗とインターネット通販サイトで取り扱う。

今回の取り組みは、玉ネギの端材の有効利用を模索していた吉野家と、隠れフードロス問題の解決のため、過熱蒸煎機による資源のアップサイクルを目指していたASTRA FOOD PLANとの共同で行われた。

吉野家の野菜加工工場で発生している玉ネギの端材。本来はおいしく食べられる部分も多い

吉野家の野菜加工工場では、牛丼用の玉ネギをスライスする工程で規格に合わない端材が発生。多い時には1日約500kgもの量に上る。キャベツや白菜の端材は動物の飼料として動物園への寄付などを行ってきたが、玉ネギに含まれる成分は人間以外の動物の場合、中毒症状を起こす可能性がある。そのため飼料として活用できず、堆肥化や廃棄せざるを得なかった。

「過熱蒸煎機」の最小モデル。米糠や果物の搾りかすなどを、高付加価値化した食材にアップサイクルする

ASTRA FOOD PLANは、2020年8月に設立したフードテックベンチャー。加熱水蒸気技術を用いた食品乾燥装置の過熱蒸煎機を開発・販売する。約2000万tに及ぶ食品残渣(ざんさ)の廃棄問題に、サプライチェーン全体で取り組むことを提言。過熱蒸煎パウダーの用途開発に取り組み、最終製品化を目指してきた。

同社は、昨年2月から玉ねぎパウダーの開発と実証実験を開始。一般的に野菜などの端材は、切り口から雑菌が繁殖しやすく、これまで「菌数」の多さが食品加工へのネックとなっていた。同社の過熱蒸煎機は、従来の殺菌機能のない乾燥装置とは異なり、400度前後の高温のスチームで殺菌と乾燥を同時に行うことができる。

さらに、玉ネギの過熱蒸煎テストを繰り返す中で、微生物検査と栄養分析を実施したところ、殺菌と高栄養価の両方を実現できることが判明。過熱蒸煎することで菌数を食品レベルに制御でき、“血液サラサラ効果”で知られる玉ネギの機能性成分「ケルセチン」が損なわれず保持されていることもわかった。

粉末化した玉ネギは、香りも良く、甘みやうまみが凝縮。ポンパドウルの職人技で生地に練り込む

こうして完成した玉ねぎパウダーを、製パン用原料として提案されたポンパドウルは、製品化に着手。職人の手によってパンの生地に練り込み焼き上げられ、過熱蒸煎パウダーの特長である高い風味と栄養価のあるパンに仕上がった。今回のオニオンブレッドの開発は、未利用資源を過熱蒸煎機で食品原料にアップサイクルし、製品化された初の事例となる。ポンパドウルのECサイトには、「アップサイクリングのしくみ」をイラスト化して掲載。食材の有効活用法に加え、商品の高付加価値化についてもアピールする。

ポンパドウルの松本郁広取締役製品開発部部長は「玉ネギのうまみと香りが凝縮されていて、とてもおいしい」と、新作に好感触を得る。今後に向けても、様々な野菜粉末の活用を視野に「ベーカリーのロールモデルとして、かくれフードロスの削減やSDGsの推進に向けて役割を担っていきたい」(松本部長)と、ASTRA FOOD PLANとの共同開発の継続に意欲をみせた。