2024年10月12日

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スズラン高崎店、ダウンサイジングで再始動

外観は正面入口の上の庇(ひさし)と垂れ幕が目を引く

2月末、群馬県のスズラン高崎店が改装オープンした。これまで構えていた店舗から隣の土地に移設し、売場面積は約3分の1に縮小。デイリー性の高い食、既存顧客からの支持が高い衣料品とファッション雑貨を中心に、約70のショップを集積した。大幅なダウンサイジングではあるが、近隣住民や顧客のニーズに応え、なおかつ百貨店らしい上質さも備える、スズランならではのMDが実現している。

高崎の中心市街地は新築分譲マンションの建設が活発になっており、定住人口が増えている。地方百貨店を取り巻く環境は厳しいものの、商機はあると判断した。同店は「さやもーる商店街」に面しており、協業によるエリアの活性化、価値向上も目的とする。

売上げシェアが高いファッション雑貨を中心に据える(写真は2階)

同店の主な顧客層は50~70代の女性で、全体の売上げの約7割を占める。この層を引き続きメインターゲットとしながら、次世代の35~50歳の女性の獲得も狙う。MDは、レディースファッション(雑貨・靴・ハンドバッグを含む)と食品の売上げシェアが旧店舗で約7割を占めていたことから、これらを軸に据えつつ百貨店らしい高品質さ、新しさのある品揃えを提供する。

こうした方針のもと構築された新・スズラン高崎店は、売場面積が約7000平米、地上1~3階の3フロアで構成される。1階は食品、2階はファッション雑貨、3階はファッション、リビングを中心としたフロアとなる。

1階の「北野エース」。高価格だが上質な商品が並ぶ

1階はグローサリーの「北野エース」を中心に、野菜・青果、精肉、和・洋惣菜といった食のゾーンを構成。「宗家 源吉兆庵」、「ユーハイム」など銘店ブランドが揃う和洋菓子のゾーンも設けた。カフェの「タリーズコーヒー」もあり、買い物の休憩がてら滞在することができる。

2階は婦人靴やハンドバッグ、帽子、傘など婦人雑貨のゾーンがメインで、紳士雑貨のゾーンも配置。時計・宝飾のゾーン、飲食店も入っている。

3階はミセス向けブランドと、大手アパレルの著名ブランドを中心に構成する

3階は「ギャラリーアイ」、「クールカレアン」、「センソユニコ」などミセス向けブランドを集積したゾーンがあるほか、「ラルフローレン」(男女複合)、「ニューヨーカ―」(同)、「ワールドショップ」、「オンワードクローゼット セレクト」といった著名ブランドが並ぶ。寝具、キッチン用品、タオル、バス・トイレタリーなどを集めたリビングゾーン、物産展などイベント用のスペースも擁する。

建物としては4階フロアもあり、地元企業の糸井ホールディングスが会員制サウナやラウンジなどを集積した「美と健康のフロア」を運営する。完成は少し先で、核となるサウナ施設は6月の開業を予定している。運営は別企業ではあるものの、下層階との相乗効果も期待できそうだ。

内装や什器にも力を入れている

改装の象徴的存在としては、道路に面した入口の上にある大きな庇(ひさし)と、そこに飾られた垂れ幕もある。現在はリニューアル記念として色とりどりの垂れ幕が並んでいるが、これからは季節やイベントに合わせた装飾の展開を予定。さやもーる商店街とも連携し、近隣エリアの回遊や活性化に取り組む。

今後は取引先の新規開拓など売場の改善を重ねながら、顧客の固定化にも力を注ぐ。リニューアルのタイミングで新たにクレジット機能のないポイントカードを発行し、来店頻度の向上を促進。インスタグラム、LINEを使った情報発信も積極的に行っている。

(都築いづみ)