2024年05月03日

パスワード

購読会員記事

大丸松坂屋百貨店の「明日見世」、第10弾は“ご自愛”をテーマにギフト訴求

第10弾がスタートした「明日見世」。今回は「自分を大切にする」という意味も込められた「ご自愛」がテーマ

大丸松坂屋百貨店が大丸東京店の4階で運営するショールーミングスペース「明日見世」で15日、第10弾がスタートした。明日見世は3カ月のタームで内容を一新しており、今回のテーマは「さあ、ご自愛しましょう」。23のD2Cブランドを集積し「あたたまる」「ととのう」「うるおう」の3つのキーワードで展開する。1年の締めくくりとともに新たな年を迎える季節に、自分にも、家族や友人など大切な人にも贈りたくなる“ご自愛”アイテムを提案する。

同社で「贈り物・プレゼント」に関する意識調査を実施したところ、約77%の人が「頑張った自分にご褒美を買ったことがある」、約66%の人が「自分が購入し体験した商品を誰かに贈ったことがある」と回答した。本社経営戦略本部DX推進部デジタル事業開発担当の長谷裕香氏は「自分にご褒美を買う人が増えている。人へのプレゼントも良いが、自分のことも大切にするためのプレゼントを探すきっかけになれば」と、これから突入するギフトシーズンを狙いに定める。

カカオの魅力を余すところなく伝えるのにこだわったVMD

「あたたまる」のキーワードでは、チョコレートメーカー大手の明治が手掛けるライフスタイルブランド「CACAO STYLE」が登場する。チョコレートの製造過程で取り除かれるカカオ豆の種皮「カカオハスク」をアップサイクルし、他社とのタイアップで誕生した製品が揃う。「カカオ農家の負担を増やすことなく、カカオの魅力を最大限伝えたい」との想いから、昨年3月に「ひらけ、カカオ。」のスローガンの下、プロジェクトをスタートした。

土台のアクリル板の下にカカオハスクを敷き詰めた演出

伝統工芸の「山中漆器」の廃木粉にカカオハスクをブレンドした菓子器「GATO bonbonniére(ガトー ボンボニエール)」は、菱華産業のブランド「MIRAIWOOD」と石川県加賀市の我戸幹男商店が協業。温かみとラグジュアリーさが感じられる一品に仕上げた。カカオハスクを素材の一部に使用して3Dプリンターで造形した「フラワーベース」は、デザイン力を生かしたプロトタイピング事業を行うVOIDの「brownew(ブラウニュー)」とタイアップした。網目のようなテクスチャーと多面体のねじれた形状が特徴的だ。食品廃棄物から新素材を開発する東京大学発のベンチャー企業のfabulaによる「チャーム」と「コースター」も、カカオの素材感が存分に感じられる。いずれの製品も、明治が「幸せの香り」と称するカカオのすっきりとした甘い香りが楽しめる。

まさに明日見世での出会いが生んだ、心も温まるコラボレーション商品

明日見世での出店をきっかけに誕生したコラボ商品も登場する。好評につき3度目の出店となる「waffle haramaki」の「スフレワッフルハラマキ」と、「Oak」の「フェムケアオイル」をセットにした「温めケアセット」。スフレワッフルハラマキは、メーカーであるトータスの本社がある徳島県・海陽町の豊かな自然から着想を得た「チャコールグレー」「カメリアピンク」「シーブルー」「メドウグリーン」「サニーオレンジ」の5色から選べる。フェムケアオイルも、海陽町の木である松の木をイメージして「松葉エキス」を配合した。第6弾で共に出店し、意気投合。両社の「女性の冷えにアプローチしたい」という共通の想いが形となった。

「ととのう」のキーワードでは、大手スポーツメーカーのミズノが手掛けるインテリア雑貨ブランド「ミズノヘルシーインテリア」が出店。「日々無理なくトレーニングを継続すること」をコンセプトに、トレーニングやストレッチの機能とデザイン性を両立させ、ファブリックとしての手触りや心地良さにもこだわったアイテムを揃える。

広々としたスペースに商品を配置し、ゆったりと試せる空間を用意

「ル・プリエスクワット」は、「座る」「立つ」の動作だけできついスクワット運動ができる椅子。負荷が掛かる上昇動作時には、座面下の脚部分のガスシリンダーがサポートしてくれる仕組みで、太もも前側の筋肉と尻の筋肉を鍛えられる。ミズノのECサイトを主販路に30万台の販売実績を持つが、今回は長期間試せるリアルの場を利用して訴求を強める。

そのほか、クッションの中のリングを押して二の腕や腹回り、太もものエクササイズができる「リングレッチ」や、家具メーカーのカリモクとコラボレーションし、世界的なテキスタイルブランド「マハラム」の生地「メリット」を使用した「リングレッチ・モード」、女性の手でも掴みやすい直径13㎝、重さ約500gのボール状でダンベルのように使える「ボルレッチ」などが並ぶ。

「“ご自愛”というと“自分を甘やかす”意味に思われがちだが、それとはまた違う意味で自身の健康のために使ってほしい」と長谷氏。日常の合間に、効率良く気軽にできる“おうちトレーニング”を提案する。

スキンケアの心地良さをビジュアルでも伝える「favs」のブース

「ととのう」のキーワードでは、スキンケアブランド「favs(ファブス)」が登場。水着ブランド「ALEXIA STAM」のデザイナーで、タレントとしての顔も持つ山中美智子氏が手掛ける。敏感肌に悩んだ自身の経験や美容の知見を生かしてゼロから開発に参画した。フェイシャルミストや美容液、保湿クリームなど、こだわりのラインナップが揃う。保湿成分の入ったバスオイルはマッサージオイルとしても使えて、自身の体をいたわるニーズも取り込む。

出店者向けに第9弾で追加した「特別プラン」は好評で、今回はカカオスタイル、ミズノヘルシーインテリア、ファブスが利用。元々2枠で募集したが3枠に増やした。特別プランでは事前に出店者にヒアリングし、大きなバナー広告や広い展示スペースなどで商品の魅力を最大化するVMDを行う。内容については、売場スペース全体を見ながら「ほかのブランドとも調和が取れるよう配慮して考える」(長谷氏)という。

カカオスタイルの場合は、大きなバナー広告とカカオハスクの現物をディスプレイに活用して世界観を構築。ファブスは大きなバナー広告に加え、明日見世初となるプレゼントキャンペーンも実施する。明日見世のインスタグラムのアカウントをフォローしてアンケートに答えると、シートマスクがもらえる。「スキンケアブランドということもあり、試していただくことでより良さが伝わると思い提案した」(長谷氏)。ミズノヘルシーインテリアは、客から目に付きやすい通路側に広いスペースを確保し、マルチホルダーのプレゼントキャンペーンも行う。

第8弾で新規導入した15万円の低額プランも、出店への“気軽さ”が奏功しているという。明日見世は、こうした新しい試みを一つ一つ成功事例につなげ、収益率向上を図る。

(中林桂子)