2024年02月26日

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鉄道会社が相次ぎ開発する高架下、より多彩に

「食×教育」をテーマにした「PLAY!高架下」イベント(22年11月12日開催)

連続立体交差事業によって地上を走っていた電車が高架になり、踏切が撤去されて慢性的な車の渋滞が解消し、鉄道で分断されていた街の交流も向上する。そして高架下には商業施設ができ、賑わいを創出する――。鉄道事業会社が相次ぎ開発する高架下には、飲食店やカフェ、物販店ばかりでなく、シェアオフィスやホテル、賃貸住宅、保育園などもみられ、より多彩になってきている。

高架下はイベントにも活用される。西武リアルティソリューションズが「PLAY!高架下」プロジェクトイベントを連続して開催しており、ジェイアール東日本都市開発は高架下で「キャンプ練習場campass」をスタートさせる。

PLAY!高架下プロジェクトは、西武池袋線石神井公園駅と大泉学園駅間の普段未活用の高架下に小さな広場をつくり、地域の人達と「使ってみよう」、「遊んでみよう」をコンセプトに、高架下空間を暫定で活用する取り組みだ。

そのトライアルは22年3月に開始。会場にはポップアップショップ、フードカー、ぬりえ・絵本ブースなどが現れ、トークライブも行われた。2回目は同7月23日に「アート×サステナブル」をテーマに開かれ、地域のギャラリー、アーティスト、作家などによる作品の展示・販売、持参した手持ちの着物をシルクスクリーンでプリントして再生させるなどのイベントが実施された。

「アート×サステナブル」をテーマにした「PLAY!高架下」イベント(22年7月23日開催)

3回目は同11月12日。「食×教育」をテーマにしたイベントを通して、食に関する興味を深め、楽しみながら学べる、食育に触れる機会を提供するとして、「地域のおいしさを集めたポップアップショップ」、「幸せ感じる現代版炊き出し」、「文化に触れる体験コンテンツ」、「もったいないを知るワークショップ」、「高架下でアウトドア」など多彩なコンテンツを登場させた。

地域のおいしさを集めたポップアップショップには食物販6店舗、展示1店舗、フードカー2台が出店。「もったいないを知る」ワークショップではワイン染め物体験、ウッドプランターDIY、野菜で作った絵の具を使ったカレンダーづくりなどが催された。

そして4回目は、今年3月11日に開催される。「スポーツ×アウトドア」がテーマで、様々なコンテンツでスポーツを通じたコミュニケーションが自然に生まれ、地域交流を深める機会を創出。初心者にはハードルが高いキャンプを、都内で気軽に挑戦できる場を高架下につくる。キャンプ時はもちろん、災害時にも役立つノウハウを伝え、防災について身近に体感できる場を提供する。

具体的な内容は、スポーツイベントではアウトドアヨガ体験、スラックライン体験、フリースロー体験、パラスポーツ体験などの「地域のスポーツに触れる『高架下スポーツ体験』」、トップアスリートによるかけっこ教室が開かれる「スポーツにコーチ派遣サービス 日テレ『ドリームコーチング』」、ジャパンサイクルリーグのサイクルシミュレーター体験や西武沿線でのサイクリングの楽しみ方などを紹介する「ペダルをこげば、どこでも行ける『サイクルシミュレーター体験』」などがある。

アウトドアのメニューは「災害に備えよう『高架下アウトドア体験』」。これはジェイアール東日本都市開発が行う「キャンプ練習場 campass」がステップアウトとコラボしてPLAY!高架下に登場する、高架下キャンプ練習場だ。アウトドアを体験しながら災害時に役立つ知識も学べる。そのほか、西武線沿線を中心とした地域のクラフトビールの販売もある。

西武リアルティソリューションズはPLAY!高架下で活用している広場を使い、新たな魅力や可能性を再発見できるようなイベントアイデアを募集してきた。3月11日の開催日は会場で来場者投票による審査を行い、そこで採用されたアイデアを23年度上期に実施する予定だ。

一方のジェイアール東日本都市開発は、JR東日本が保有する鉄道用地(敷地)の管理、高架下・駅近接用地における商業・オフィス・住宅などの開発およびショッピングセンター(駅ビル)の運営を主要事業としている。

そのうち高架下については秋葉原駅~御徒町駅間で、ものづくりの街「2k540 AKI-OKA ARTISAN」、高架下ホテルを併設した「SEEKBASE」、日本全国の逸品を集めた「CHABARA AKI-OKA MARCHE」を運営しており、新橋駅~有楽町駅間には全長300mの高架下空間「日比谷OKUROJI」を展開している。

新規事業提案社内コンペで事業化となった「高架下キャンプ練習場」

秋葉原高架下でキャンプ練習場の展開が具体化したのは、ジェイアール東日本都市開発とReGACY Innovation Groupが共同で実施した新規事業提案社内コンペ事業化審査会で、キャンプ初心者ファーストステップを支援する高架下キャンプ練習場の事業化が決定したからだ。

事業化決定の決め手は、同事業を起案したチームが過去3回の実証実験で得た大きな手応えだ。一般モニターに対して22年8月13日~24日の12日間に亘り秋葉原駅~御徒町駅間の高架下で気軽にキャンプについて学べる場を提供したところ、12日間の全ての予約枠が完売となり、合計137組・364名が参加した。その実績が評価されたという。

初心者のための「キャンプ練習場campass」

2月20日に予約開始、3月19日にオープンする「初心者のためのキャンプ練習場campass」は、文字通りキャンプの初心者に練習体験を提供し、一歩踏み出すハードルを下げ、より多くの人にアウトドアに触れてもらう。初心者が安心してチャレンジできるよう、身軽かつ気軽に利用できる練習場として、テントの設営・撤収をスタッフがサポートする。利用者のそれぞれのテントでの過ごし方に合わせ、「しっかりキャンプ練習!」(5500円)、「気軽にデイキャンプ」(3300円)、「都心でサクッとキャンプ飯」(3300円)の3つのプランを用意する。

今回のキャンプ練習場campassは、ニューウェルブランズ・ジャパン コールマン事業部および伊藤忠テクノソリューションズの協力を得て開催する。期間は秋まで。

(塚井明彦)