2026年04月01日

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JR東日本グループ、「高輪ゲートウェイシティ」完成 駅と街が一体となった「100年先のための実験場」

「ザ・リンクピラー1」(ノース)と「ザ・リンクピラー2」の間をロボットが走行する

JR東日本グループは3月28日、「高輪ゲートウェイシティ」をグランドオープンした。昨年先行オープンした複合施設「ザ・リンクピラー1」(ノース、サウス)に続き、「ザ・リンクピラー2」、ミュージアム「モン タカナワ:ザ ミュージアム オブ ナラティブズ」、レジデンス「高輪ゲートウェイシティ レジデンス(4月入居開始)」の3エリアがオープンしたことで、同グループが目指す「100年先の心豊かな暮らしのための実験場」が完成する。人、文化、自然とテクノロジーを掛け合わせ、世界中の社会課題の解決のためのソリューションを創出する。

「高輪ゲートウェイシティ」は、構想から約20年、総事業費約6000億円以上をかけ、JR東日本グループが単独開発した。敷地面積は東京ドーム1.2個分に相当する約7万4000㎡、延床面積は84万5000㎡、南北約1.3㎞におよぶ。高輪一帯は、江戸時代には日本各地との交流の玄関口でもあり、日本初の鉄道が海上に開業した地。日本の土木技術と西洋の機械技術が融合し、イノベーションを生み出した歴史があり、「100年先を見据えた国内外への玄関口・グローバルゲートウェイという役割を受け継ぐ街」と位置づけている。

「ザ・リンクピラー2」を出て「モン タカナワ:ザ ミュージアム オブ ナラティブズ」を望む

Suica、アプリ、ロボットと連携するデータプラットフォームを活用

JR東日本グループは、1日約1500万人のJR東日本管内利用者や約1700の駅といった広範な鉄道ネットワークを生かし、街に関わる共創パートナーのアイディアとサービス、知を掛け合わせた「地球益」構想を掲げており、日本各地だけでなく世界を視野に見据えている。街の基盤には「TAKANAWA GATEWAY URBAN OS」を核としたJR東日本グループの鉄道データと街のあらゆる事象を統合するデータプラットフォームが活用され、「Suica」「高輪ゲートウェイシティアプリ」「ロボット」が連携する。

最大3人が乗車可能な自動走行モビリティiino(中央)で街を回遊できる

その連携は、昨年11月に開始されたショッピング施設ルミネの「ニュウマン高輪」からオフィスの社員食堂などへのロボットデリバリーなどで生かされている。今回のグランドオープンでは ザ・リンクピラー2の4~5階にクリニックモール「クリニックス メディカル&ライフ デザイン ハブ」がオープンし、Suicaで複数のクリニックの受診を可能にした。将来的にはパーソナルヘルスデータと組み合わせ、改札通過時に良質な睡眠アドバイスの配信、社員食堂で健康状態に応じたメニューの提供などを実現していくという。

上に伸びたセンサーで感知し、エレベーターに自動乗車ができるデリバリーロボットも稼働する

ほかにも外国人ビジネスワーカーにも対応した全847戸の賃貸レジデンス「高輪ゲートウェイシティ レジデンス」の5階に、Suicaと連携した家具、家電、サービスを提供する12戸限定の賃貸も誕生する。カードリーダーにSuicaをかざすだけで開錠可能、改札を出て部屋に帰ると風呂の湯が沸くなど、新たな「スマートホーム」を提案していく。

東京大学やシンガポール国立大学など国内外のスタートアップやアカデミア・アクセラレーター・ベンチャーキャピタルと新たなビジネス、文化を創造する「高輪ゲートウェイ リンク スカラーズ ハブ」の3つ目のスタジオもザ・リンクピラー2の4階に開き、知の創造の支援を加速させる。

「高輪ゲートウェイ リンク スカラーズ ハブスタジオ3」でのモノづくりや地方発のスタートアップの紹介の様子

「大井町トラックス」も開業し、広域品川圏が本格始動

同日、JR東日本が主導するJR大井町駅直結の大規模複合施設「大井町トラックス」が開業している。高輪と大井町、すでに開いている竹芝、浜松町、田町、品川エリアを含めて広域品川圏と名付け、一帯でJR東日本の交通インフラを生かした様々なサービスソリューションを展開していく。広域品川圏が本格始動することで、KDDIとの協業のもと、5月10日まで竹芝とを結ぶ2ルートの自動運転バスの走行実証も行う。

東日本旅客鉄道マーケティング本部まちづくり部門品川ユニット TAKANAWA GATEWAY CITY(運営戦略)マネージャーの天内義也氏は「他の商業施設との違いとして、駅と街を具体的にプランニングできたことが最大の特徴。駅と街が一体となっていることで、利用者には安心して快適に移動してもらえる。広域品川圏に点在している各エリアの魅力を移動という交通手段でつなぐことによって、より長く滞在してもらうことも可能になる。街の運営を長期に亘って担うことも当社のなすべきことと考えている」と語った。

「モン タカナワ:ザ ミュージアム オブ ナラティブズ」と「高輪ゲートウェイシティ レジデンス」の間に、2028年春のオープン予定で公園も建設中だ

高輪ゲートウェイ駅の乗降人口は、まちびらき前は1日約2万人だったが、まちびらき後は4万人に倍増した。昨年秋のニュウマン高輪の全面開業と「JWマリオット・ホテル東京」の開業で6万人となり、グランドオープン後は10万人が滞在する街となる見通しだ。

(北野智子)