旧横浜市庁舎行政棟を保存・活用した「ベースゲート横浜関内」、19日開業 関内復活の起爆剤に
横浜全域の魅力を繋ぐ「BASE(拠点)」と新たな感動や出会いの「GATE(入口)」となるよう「ベースゲート横浜関内」という名称になった
三井不動産、ディー・エヌ・エー、東急、星野リゾートら8社による旧横浜市庁舎行政棟を保存・活用した大型複合施設「ベースゲート横浜関内」が19日に開業する。JR関内駅前に立地し、敷地面積は約1万6500㎡、総延床面積は12万8500㎡。オフィスや大学などが入居する33階建ての「タワー」を筆頭に、ホテル「OMO7横浜by星野リゾート」と商業施設が入居する「ザ レガシー(旧横浜市庁舎行政棟)」、常設型ライブビューイングアリ―ナ「ザ ライブ」、商業施設で構成される「スタジアムサイドテラス」など6棟からなる。12日には記者発表会が行われた。
関内地区は2020年代に入り再開発が本格化した。1980年代以降、都市基盤の整備と大規模施設の誘致により、新都心として計画的に開発されてきたみなとみらい21に対し、戦後から商業や行政の中心地として発展してきた特性から、既存の都市基盤を生かした再開発が進められてきた。ベースゲート横浜関内は新旧融合を特色とし、横浜の文化の継承として旧横浜市庁舎行政棟を保存・活用しながら格式ある景観を形成する。「MINATO-MACHI LIVE(みなとまちライブ)」をコンセプトに掲げ、新たな感動と賑わいの創出を目指す。

JR根岸線関内駅が目の前の好立地
街区内の施設は、①「タワー」②「ザ レガシー」③「ザ ライブ」④「スタジアムサイドテラス」⑤「グリーンウォークテラス」⑥「ビジターフロント」––の6棟からなる。33階建てのタワーはイノベーションオフィス、新産業創造拠点、ウェルネスセンタ―、学校法人関東学院が入居し、産学が連携する。人材の育成と新産業の創造の拠点の役割も担う。1~5階にはデジタルによる映像演出で臨場感あふれる没入体験が楽しめる体験施設「ワンダリア横浜」やスーパーマーケットも入居する。

「ザ ライブ」(左)と「ザ レガシー(旧横浜市庁舎行政棟)」(中央)

「OMO7横浜by星野リゾート」のレセプション
「レガシー(旧横浜市庁舎行政棟)」は、星野リゾートが手掛ける街観光に重きを置いた新感覚のシティーホテル「OMO7横浜by星野リゾート」として活用される。ホテル内は、旧市民広間の大階段、旧市会棟本会議場の議員席など、日本を代表する近代建築家の村野藤吾によるデザインを継承し、新旧が融合した空間をつくり上げている。客室は旧市庁舎内で使われていた赤、青、緑をテーマカラーに用い、広さ20~73㎡で9タイプ、276室を備える。公園や海辺といった散歩スポットが充実したエリアであることから、愛犬同伴で宿泊できるのも大きな特徴だ。

「ザ ライブ」の巨大ヴィジョンの前で語る、ディー・エヌ・エー代表取締役会長南場智子氏
「ザ ライブ」は、幅約18m、高さ約8mの巨大LEDビジョンを備えた日本最大級の常設型ライブビューイングアリーナ。3階建てで、1階には9つの飲食店、2階にはグッズショップ、3階にはバーベキューレストランがある。隣接する横浜スタジアムでの球団主催プロ野球公式戦以外にも、ビジターゲームやサッカーなど各種スポーツの試合、音楽ライブなどを放映し、年間を通してライブビューイングと飲食が楽しめる新たなエンターテインメントを提供する。

クラフトビール、イタリアン、ラーメン、ベトナム料理、寿司など多彩なジャンルの食事が楽しめる「スタジアム横バル街」

横浜スタジアムとデッキで直結する「スタジアムサイドテラス」にはイタリアン(写真)をはじめ、まぐろ、うなぎ、韓国料理店がある
ベースゲート横浜関内の商業エリアには、計55店舗が集まる。神奈川県や横浜市を発祥・拠点とする店舗やエリア初出店の店舗も立ち並ぶ。「スタジアムサイドテラス」と「レガシー」にまたがる34店舗は「スタジアム横バル街」を構成する。路地のようなライブ感も楽しめ、1909年に関内で創業した書店「有隣堂」が出店するコワーキングスペース、ショップ併設のギャラリー、ダイニングにも注目が集まる。2階建ての「グリーンウォークテラス」には、様々な種類の茶葉で淹れたティーに特化した「スターバックス(ティー&カフェ)」が神奈川県初登場するなど、話題豊富な店舗ばかりだ。

「関内マーロ」の所要時間は約1時間15分。関内エリアと中華街や山下公園、赤レンガ倉庫もめぐる
敷地内には観光案内所の「ビジターフロント」も備える。5月31日までの土・日曜、祝日には、発着地となって主要観光地からマニアックなスポットまでを時速20㎞未満でめぐるグリーンスローモビリティ「関内マーロ」の運行が行われる。20~22日はオープニングフェスティバルが開催され、地域ゆかりのアーティストによるライブパフォーマンスや横浜の歴史、文化が体感できるマーケットなどを予定する。

「OMO7横浜by星野リゾート」のルーフトップテラスからは横浜スタジアムが一望できる
記者発表会で、三井不動産代表取締役社長植田俊氏は「横浜は社会人の第一歩を踏み出した思い出の地。最近の関内は少し寂しい雰囲気だったが、今後は新旧が融合しながら整備され大きく変わっていくと思う。横浜スタジアムでのライブ体験に加え、ベースゲート横浜関内では、ザ ライブでのビューイング体験、商業施設での滞在体験や宿泊体験が楽しめる。関内がかつての賑わいを再び取り戻すような、狼煙(のろし)を上げるような、被爆剤となることを願っている」と語った。
ディー・エヌ・エー代表取締役会長南場智子氏は、「インターネットでサービスを提供し、普段はお客様の顔が見えない当社だが、球場でファンの方々がハイタッチをして、抱き合って喜ぶ姿を見て、人に喜んでもらえる事業はとても幸せでありがたいと実感した。今年の12月で球団を取得し15年になる。横浜市民の皆様と今は街を一緒に作っていける立場になった。ザ ライブは世界中のチームやアリーナを見て、夢を膨らませ、力を結集してつくった。世界最高のものができたと自負している。今後は来場したお客様からいただく感想をフィードバックし、スピード感をもって進化させていきたい。球団運営からスタジアム運営、街づくりと一歩踏み出した記念の日を皆様と共にできることを心から感謝する」と述べた。
星野リゾート代表取締役社長星野佳路氏は、「村野藤吾先生は日本が世界に誇る建築家。その方が設計した建物を残すこと、ホテルにコンバージョンできることにやり甲斐があり、大事なプロジェクトとして取り組んできた。横浜は東京というブラックホールのような巨大都市が近すぎ、日帰りで訪れる率が高い。ホテルとしては宿泊してもらうこと、どんなサービスを提供できるかが課題。野球観戦に訪れた方々全員が宿泊してくれるという発想で取り組んでいきたい」と語った。
(北野智子)