2020年07月14日

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フロア移設で20~40代増 客層の若返り顕著に 京王新宿店

 

京王百貨店新宿店3階のインナーウェア売場は、客層の若返りが進んでいる。昨年8月21日に行った改装が奏功。二階の「トリンプ」、四階の「ワコール」を客層の若い3階にまとめ、美容施術や喫茶と隣接させたが、フリー客の売上げが美容施術を含めたゾーン全体で前年比34%増(8月21日~12月末)と伸長した。売上げの大半を占めるワコールでは3階の客の買い回りが多く、20代、30代、40代の売上げが全て二桁増(同)。客層の拡大が顕著だ。

京王百貨店新宿店は2017年3月、4階のインナーウェア売場からトリンプを2階に移した。2階が若年層向け、四階がミセス、シニア向けとフロアターゲットの違いを考慮したが、客からは「比較して検討したい」という声が多く、昨年8月に再度の移設となった。想定よりも顧客の年齢層が高くなったワコールを40~50代の多い3階へ移し、若返らせる狙いもあった。

 

さらに他店と異なる独自性を打ち出すため、ディノス・セシールの通販ブランド「ディランジュ」の初の実店舗を開いた。これら3ブランドで売場を構成する。

 

“再改装”は狙いが的中した。セミオーダーブランドの「デューブルベ」、スイス発の高品質な「ハンロ」など新ブランドを導入し、40~50代向けの品揃えを拡充したワコールは、3階の婦人服などの顧客の買い回りで売上げが伸長。カードホルダーのデータでは前年比が20代で40%増、30代で15%増、40代が20%増(8月21日~12月末)となった。

 

50代以上もほぼ前年並みを維持しており、「4階の時のお客様を逃さずに、新しいお客様を獲得できている」と婦人服部キャリアスタイル担当統括マネージャーの岩本裕之氏は手応えを実感する。

 

トリンプは、内装に特別感がある、都内で3番目となるコンセプトストア「プレミアム・テイラレス」に刷新。同時にウェブでフィッティングの予約をできるサービスを始め、これが新客の来店のきっかけとなった。トリンプのウェブサイトから予約できるため、京王百貨店新宿店に普段来ないような客も誘引。中には20~30代もいる。売上げに結び付く確率も高く、売上げは12月末までで前年の1.2倍と好調だ。

 

こうした好成績は新ブランドやサービスを取り入れただけでなく、改装による客の混乱や離反を防ぐためのケアを徹底した効果でもある。2階や4階のショップでは定期的に、買上げ客にインナーウェア売場で使えるクーポンを配布するなど、新しい売場を積極的に告知した。定番の手法だが、買い回りが活発化したという。

 

今後は新客の固定化に注力する。「具体的には、カードの保有。メリットを伝え、保有を促す」(岩本氏)。カードを持てば、買い換え需要だけでなく、他の売場への買い回りも期待できる。ワコールとの新たな集客策を検討するなど、新客の開拓も手を尽くし、売場の成長力を維持する。

 

非日常の世界観に支持 インポートが高伸長 松屋銀座本店

 

品揃えの独自性とラグジュアリーな空間を追求し、成果を上げているのが松屋銀座本店だ。昨年2月にインナーウェア売場を4階から6階に上げ、面積を約3倍の640平米に拡大。品揃えでは、新規のブランドを入れて既存ブランドも拡充したインポートが支持を集め、前年比で5割増、8割増と急成長を遂げたブランドもある。環境では、ブランドの世界観を堪能できるゆったりとした空間が好評を博している。

 

松屋銀座本店は昨年2月17日、6階にインナーウェアとナイトウェアの売場「ル ランジェ」を開いた。インナーウェアは約640平米の売場面積にインポート12ブランド、国内16ブランドを揃え、都内最大規模を誇る。ブランドでは、繊細なレース使いが特徴の「ミレジア」、フィッティング力が評価されている「プリマドンナ」など5ブランドを導入し、特にインポートを強化した。国内も3ブランドを加え、ラインアップを充実させた。

 

ブランドの世界観を表現し、ゆったりと買い物ができる空間にもこだわった。内装などにも力を入れ、時間を忘れて楽しめる非日常的な買い物体験の提供を目指した。

 

改装の効果を最も享受しているのがインポートだ。イタリアの高級ブランド「ラペルラ」の売上げは前年比で約1.8倍(2019年2月17日~20年2月5日)で、フランスの「オーバドゥ」も同約1.5倍と大きく伸ばした。ラペルラはこれを受け、今年2月1日には売場を拡大した。

 

ラペルラとオーバドゥの快走は、「どちらも世界観がはっきりと立っているブランド。それを売場の演出によって存分に発揮し、お客様の心を掴んだのではないか。品揃えも非常に豊富で、お客様も『ここにくればきっと自分が求めるものがあるだろう』と思い、それが買上げに繋がった」と婦人三部MD課バイヤーの岩井実佐氏は分析する。

 

広さやラグジュアリーな空間に対する満足の声も多く、実際に客の滞在時間は上昇。小売業では滞在時間が伸びると売上げも伸びるとされるだけに、吉兆だ。

 

現状の課題は、売場の認知度や集客力の向上だ。客数は上層階へ移設したにもかかわらず前年並みを維持しているが、客単価や坪効率はやや下降。同階のプロモーションスペースで1月に2回ほどイベントを開催するなど、積極的に改善策を講じている。