西川、体験型「nishikawaショップ」の出店・改装を積極化
西川では百貨店の売場を、快眠コンサルティングサービス「ねむり相談所Ⓡ」やデジタル計測器を導入するなど、同社の品質を体感できる体験型店舗「 nishikawaショップ」へと順次、改装・拡大している(写真は9月24日に改装オープンした天満屋福山店)
西川は、体験型の「nishikawaショップ」の新規出店、並びに移設・改装を積極化させている。2025年度(25年2月~26年1月)は9月末までに大型ショッピングセンター(SC)を中心に12店舗を出し、百貨店を中心に6店舗を移設・改装。出店・改装は2週間に1店舗がオープンしているペースで、今年度末までに25店舗程度を計画している。nishikawaショップは、良質な睡眠をベースに健康を支える「睡眠ソルーション」企業を目指す同社が培ってきた品質を体感でき、専門知識を持つ販売スタッフによって一人一人に合った商品を提案する。将来の「1000店舗構想」の中心となるSPA型のショップ形態であり、来年度も今年度と同程度の出店・改装を計画している。
人を介し、一人ひとりの快眠に寄り添う
nishikawaショップは、コンディショニング・マットレス「エアー」、快眠寝具トータルブランド「&Free(アンドフリー)」、後頭部から首にかけてのラインを細かく測定してつくる「オーダーまくら」などを揃え、快眠コンサルティングサービス「ねむりの相談所Ⓡ」、顧客の全身を撮影して個々の体型に合った寝具を提案できる寝具測定アプリ「ピマピッタ」、オーダーまくらやマットレスのフィッティングに必要な最新の体型測定機器といったサービス機能も充実している。
さらに測定結果に基づき、睡眠や寝具に関する専門知識を持つ販売員が客の一人一人に合う商品を提案する。西川がこれまで培ってきたノウハウを結集し、「人を介して生活者一人一人の睡眠に関するお困り事に寄り添い、快適な睡眠をサポートする」(統合運営戦略部統合運営企画1課課長兼エリア戦略事業部企画担当長石井裕氏)。
nishikawaショップの新規出店はSCが中心で、すでにコーナー展開している百貨店では改装によってショップ化を進めている。9月には、丸井今井函館店(11日)と天満屋福山店(24日)でnishikawaショップが順次改装オープンした。
丸井今井函館店のnishikawaショップは、ねむりの相談所Ⓡを新設して、63坪に拡大・改装。同相談所は睡眠環境改善のアドバイスを行う快眠コンサルティングサービスで、ショップ内に専用コーナーを設けた。専門知識を持つ眠りのプロフェッショナル「スリープマスター」が客の睡眠や寝具に関する悩みをヒアリングし、専用計測器で睡眠の質や寝室環境を測定・可視化する「睡眠環境解析サービス」や「寝室チェックシステム」などを駆使して、悩みに応じた快眠へのツールを提案する。
天満屋福山店はコーナー展開からnishikawaショップに刷新して、店舗面積を約40坪に広げた。エアー、&Free、オーダーまくらなどの人気アイテムを揃え、寝具測定アプリや最新測定機器を備える。西川の品質を体感でき、店舗運営形態を西川の自主運営型ショップに切り替えた。いわゆる「SPA型ショップ運営モデル」だ。
26節MDを軸に「眠りのテーマパーク」目指す
西川は現在、全国百貨店約130店舗に売場を構えているが、すでに100店舗程度をnishikawaショップに順次切り替えてきている。かつての「ふとんの西川」、「卸売業」から、最新の技術を取り入れながら良質な睡眠をベースに健康を支える「睡眠ソルーションのnishikawa」へと進化してきており、その顧客接点の重要な拠点となるのが、言うまでもなくnishikawaショップだ。
nishikawaショップの出店拡大に伴い、持続的成長に向けた店舗運営も深化させてきている。キーワードは「売場のエンタメ化」である。「売場は単にモノを売る場所ではなく、お客様が楽しみながら眠りに関する悩みを解決していただく、『眠りのテーマパーク』であり、販売スタッフは『キャスト』としてお客様と接することができるようなショップ運営を目指している」(石井氏)。
エンタメ化のツールの1つが、テーマ設定に基づき売場を彩るMD・販促計画で、「眠りに関するお客様の関心事やお困り事のニーズをテーマにして、さらに年間26節に細分化してブランドやアイテム、サービスを提案していく」(石井氏)。例えば、2~4月のテーマは「新生活」で、さらに細分化して2週間ごとのテーマを決めて、VMDや装飾、新生活に必要な商材などで売場を彩っていく。「これまでもシーズンに応じた販促計画を立てていたが、ここまで明文化して26節ごとに売場を彩る取り組みは、25年度から本格的に始めている」(石井氏)という。
26節MDは緒に就いたばかり。「まだ仮説の域に過ぎず、引き続きお客様の声に耳を傾けて、その時々のニーズに的確に応えていけるように、随時アップデートしていく必要があり、お客様と共に眠りのテーマパークをつくり上げていきたい」(石井氏)意向だ。

nishikawaショップは、大型ショッピングセンターや都市型複合商業施設などにも積極的に出店している
「睡眠ソルーション」企業への変革の証し
26節のMD・販促計画に基づく売場で実践するのはショップの店長並びに販売スタッフであり、いわゆる「眠りのテーマパークを演出するキャスト」である。「『人が全て』なので、店長並びに販売スタッフの業務を明文化したり、研修を充実させたりなど、採用から教育、人材育成まで仕組み化している最中」(石井氏)だ。
西川は寝具・睡眠業界のリーディングカンパニーとして、睡眠科学とテクノロジーで社会課題の解決に貢献する、睡眠ソルーション企業への変革を進めている。この西川の最新技術を取り入れながら一人一人に応じた良質な睡眠を提案するnishikawaショップの出店加速は、睡眠ソルーションへの変革の表れに違いない。
(羽根浩之)