キリンビールの中元、おいしい「一番搾り」メインに

国内のビール市場全体は縮小傾向ではあるが、そのような状況の中、近年若い層から支持を集めるクラフトビールは各社成長が見込める領域として力を入れている。キリンビールも今年2月、米国の代表的なクラフトビールメーカーであるブルックリン・ブルワリー社の旗艦店「B（ビー）」をオープンした。フラッグシップ店は世界初の出店で、その世界観や価値観を発信している。「B」では、ブランドの基幹商品をはじめ、直輸入ビールやオリジナルビアカクテルなど多種多様なビールを提供する。店内はアートや音楽で彩られ、ユニークさと親しみを感じられる環境だ。

キリンホールディングスの磯崎功典社長は「クラフトビールは、ビールの価値を変える取り組みである。将来的にクラフトビール市場はビール市場全体の5％程度まで成長すると見込む」としている。

キリンビールではさらにその一歩先を提案。クラフトビールをきっかけにビールに興味を持った若い層に、主力ブランドのおいしさも提供する。19年には主力商品「キリン一番搾り生ビール（以下、一番搾り）」に注力。ビールに求められる「おいしさ」をさらに進化させリニューアルした。「一番搾り」は、麦のおいしいところだけを搾る「一番搾り製法」を採用しており、純粋さを追求したビールとして、多くのビール好きに好評であった。麦本来のうまみが感じられる、調和のとれた雑味のない味わいをさらに進化させ、飲みやすく飲み飽きないおいしさを実現。広告と店頭の連動によりそのおいしさを伝え、缶商品の販売数量を昨年まで3年連続で増加させ、ブランド強化を推し進める成果を生み出した。

コロナ禍の中、百貨店各社の中元商戦が始まり、大手ビールメーカーもラインナップを揃えた。長年中元の定番であるビールギフト。洋菓子などへシフトする時期もあったが、その人気は根強い。昨年のそごう・西武の売上げトップ10でもビールが5アイテム入り、グルメのカタログギフトとビールギフトだけで9位までを占める結果となった。

キリンビールでは今年の中元もその「おいしい」一番搾りをメインに11セット・26種をラインナップ（下の表参照）した。限定品の「一番搾り超芳醇」を組み合わせた飲みくらべセットも用意。「一番搾りの魅力を贈り手、貰い手の両者に感じてほしい」（キリンビール）としている。また「一番搾り4種飲みくらべセット」を昨年の中元で新規投入し大変好評だった。「贈る相手に色々なビールを楽しんでもらいたい」、「相手の好みがわからない場合などに贈りやすい」という理由で支持されており、ラインナップは今中元でも継続する。