10月8日は「メリーのミルフィーユの日」 第二の柱に育てたいメリーの戦略とは
サクサクしたパイでクリームを挟み、チョコレートでコーティングをしている
チョコレートを中心とした菓子の製造・販売を手がけるメリーチョコレートカムパニーが、「ミルフィーユ」の拡販に力を入れている。10月8日を「メリーのミルフィーユの日」と制定し、一般社団法人日本記念日協会からの認定を受けたことから、その本気度がうかがえる。今秋はこれに連動した体験型イベントや記念商品の発売、SNSを活用した情報発信などを展開。看板商品「ファンシーチョコレート」に次ぐ、新たな成長の柱にしたい考えだ。

⼀般社団法⼈⽇本記念⽇協会によって正式に認定された
チョコレートの需要が落ちる春夏の強化を目指す
ミルフィーユは2011年に発売し、今年で15周年を迎える。1950年に創業した同社は、「品質の良いおいしいチョコレート」づくりを目標として取り組んできた。ボンボンショコラの詰め合わせ「ファンシーチョコレート」などのヒット商品も生みだしたが、チョコレートはどうしても秋冬に需要が偏りやすいという課題がある。
春夏向け商品として、これまでもゼリーやマロングラッセ、クッキーなどを発売してきた。しかし「やはり当社に求められるのは、チョコレートの菓子だった。そこでチョコレートを幅広く使える商品として、ミルフィーユを開発した」とマーケティング本部広報宣伝部コーポレート広報課の小泉朝陽課長は語る。脱・チョコレートではなく、強みであるチョコレートを生かすことで需要の平準化を目指す考えだ。
チョコレートのおいしさを生かす設計で売上げを拡大
そうして生まれた同社のミルフィーユは、パイとクリームを重ね、チョコレートでコーティングした常温の焼き菓子。チョコレートの魅力を生かす商品設計にこだわり、パイは、チョコレートの口どけとバランスがよい144層仕立てを採用した。コーティングには、「チョコレート」「準チョコレート」といったチョコレート規格の中で、もっともカカオの配合が多い「チョコレート」を使用する。
同本部研究開発部焼菓子課の小柳文弥課長は「カカオ豆やフレーバービーンズなど、原材料も本当に良いものを選定した。口に入れた瞬間から香りが広がり、最後までチョコレートを感じられる」と魅力を語る。価格は2個入が324円、10個入が1350円、20個入が2808円(その他価格帯もあり)。

チョコレートのコーティングは2度掛けして、均一で美しい見た目に仕上げている(写真は同社の船橋工場)
発売以降は順調に売上げを伸ばし、26年3月時点で累計出荷本数は2億5000万本を突破した。人気の要因は、先述の「チョコレートのおいしさを生かした味」に加え、配りやすい個包装タイプであることも大きい。価格を抑えることで、「コスパがよく満足感が高い」という立ち位置もつくってきた。
当初の目的でもある、夏場の需要開拓にも取り組んでいる。今年5月、高温でも溶けにくい「シュガーコートミルフィーユ」を発売。35度で1時間保管した後でも、冷蔵庫で30分冷やすと本来の食感が復元されるという商品で、売上げは想定を上回って推移しているという。
リアルイベントやSNSでさらなる認知度向上へ
こうした動きをさらに加速させるのが、「メリーのミルフィーユの日」だ。制定の直接のきっかけとなったのは、昨年に行ったミルフィーユの認知度調査だった。関西のイベントで調査した際、メリーチョコレート自体の認知に比べ、同社のミルフィーユを「知っている」「食べたことがある」という人が想定以上に少ないことが分かった。
「認知度は半分以下で、食べたことがある人はさらに少なかった。市場に浸透させる必要性を実感した」と小泉氏は述べる。そこで「メリーのミルフィーユの日」を制定。ミルフィーユはフランス語で「1000枚の葉」という意味であることから、1000と葉(8)を組み合わせ、10月8日を選んだ。
連動策として、今年9月後半~10月初旬には、全国のショッピングセンターで体験型イベントを開催。10月1日には、記念商品「ミルフィーユハッピーバッグ」を発売した。10月末まではSNSキャンペーンも実施し、抽選当選者には実物の約23倍サイズの巨大ミルフィーユをプレゼントする。

新客との接点拡大や認知度向上のため、イベントを開催した
「老舗のメリー」だけでなく「新しいメリー」を知る入口に
今後はSNSでの発信頻度を高めるほか、店頭POPや受賞実績の訴求などを強化。若年層との接点づくりにも力を入れる。長い歴史を持つ同社は、顧客の高齢化が進んでいる。「若いお客様に、『老舗のメリー』であると同時に『新しいメリー』でもあることを知っていただきたい」(小柳氏)。そのための入口として、ミルフィーユに期待を寄せる。
勝算もある。「市場を見ると、焼き菓子のミルフィーユというのはまだ開拓の余地がある。ある種“ブルーオーシャン”とも言える。『ミルフィーユといえばメリーだよね』という立ち位置を目指したい」(小泉氏)。工場の設備見直しを進めており、生産能力も高めていく。
チョコレートの消費動向を見ると、主戦場であるバレンタイン市場は底堅く推移しているものの、原材料の価格高騰や夏の長期化といった逆風もある。気温が高い期間が延びれば、チョコレートの需要が落ちる時期も長くなる。チョコレートを核とした新しい食べ方を提案することで時代の変化へと適応し、メリーチョコレートカムパニーという企業の可能性を広げていく考えだ。
(都築いづみ)