プリンセストラヤ・小久保繁社長インタビュー 「‟新しいアクション”で次代へ」
小久保繁社長。モットーは、社是でもある「誰にも誠実でありたい、考えよう、常に若々しく」だという
バッグ・財布の企画製造卸を手掛けるプリンセストラヤは昨年12月、小久保繁氏が代表取締役社長に就任した。売場環境や消費構造の転換が進む中、小久保社長は「新しいアクション」を掲げ、デジタル強化や他社との協業による新業態開発などに着手する。商品部門を長く歩み、ものづくりと店頭提案の両面を知る小久保社長に、成長戦略を聞いた。
――まず社長就任について、率直な感想を教えてください。
近年は百貨店や専門店などの売場の編成、消費者の購買動向などが大きく変化し、厳しい市況が続いています。これまでのお取引先への貢献や提案は大切にしながらも、「新しいアクションを起こさなければ」という想いがありました。ですので、前に進めよう、挑戦をしようという決意で就任しました。
――これまでの経歴を教えていただけますか。
私は1994年に新卒で当社に入社し、「box21」というブランドの事業部に配属されました。そこで百貨店や専門店への営業を行い、2002年に商品部へ異動となりました。19年に商品部部長、20年に取締役商品部長となり、代表取締役社長に就任したのが昨年12月です。商品部の方が長いものですから、お得意先からは「小久保さんって誰?」と聞かれることも多いそうです(笑)
商品部時代は、主に財布を担当していました。財布というのは昔から、「運気」や「験担ぎ」と結び付きが強いアイテムです。そうした要素を売場で前面に打ち出したところ、財布事業の売上げが大きく伸長しました。ものづくりはもちろん重要ですが、店頭でお客様に響く提案をすることの重要性を実感しましたね。
デジタル強化とキャラクターコラボを推進

デジタル強化の一環として、昨秋に自社ECサイトを刷新した
――御社の強みは何でしょうか。
企画製造卸を全て手掛けていることです。また、当社はプライベートブランドを多く持っています。そのため、今の時流やトレンド、お得意先の状況などを営業活動で吸い上げ、スピーディーに企画に生かすという体制ができています。
――逆に、今の課題は何でしょうか。
先ほども述べたように、お得意先の売場が変化しています。百貨店ではバッグや財布の平場が減り、専門店でもオリジナルブランドの開発が増えている。そうした中で、我々のバッグや財布を売る場を見付ける、つくり出していく必要があります。
やはり今はデジタル強化ということで、昨年秋に自社ECサイトをリニューアルオープンしました。「Dakota」など複数のブランドを扱う「FUKUROMONO STUDIO(フクロモノスタジオ)」と、「ESTINE」というブランドのサイトと、2つあります。買い回りなどの利便性をかなり改善させましたし、今後は情報発信やEC限定商品なども充実させていく方針です。

今春に発売する「リラックマ」デザインの財布
また、顧客の高齢化も当社の課題です。そこで新客の獲得を狙い、有名キャラクターやインフルエンサーとの取り組みを積極化しています。今春には、サンエックスの人気キャラクター「リラックマ」がデザインされたバッグや財布を展開しますし、一部店舗とEC限定ですが、HTB(北海道テレビ放送)のキャラクター「onちゃん」とのコラボグッズも先ごろ発売しました。
リアル店舗はワークショップやコンセプトショップで魅力化
――リアル店舗での新しい取り組みや施策を教えてください。
レザーというのは食用の動物から採られた皮を使用するので、とてもエコな素材なんです。ただ、それが十分に理解されておらず、「動物がかわいそう」と誤解されている向きもあります。そのため、日本皮革産業連合会が主導する「TLA(Thinking Leather Action)」に我々も参加し、百貨店などでワークショップを開催しています。
内容はお子様向けで、レザーを使った小物を作りながら、レザーについて学ぶというものです。お子様は本当にキラキラした目で楽しんでいて、ご家族の方にも、皮革について知っていただく機会になりました。ワークショップの後にダコタのショップを訪れて購入された方もおり、レザークラフトという体験を通して、新たなファン層の開拓につながったと思います。

昨年8月には、東急たまプラーザのイベントスペースで開催した
新たな取り組みとしては、他社と協業したコンセプトショップ「DEPA_(デパ)」も展開しています。アパレルブランド「Parc.1」、シューズブランド「D’ICI」、当社のESTINEで構成され、上野の「パルコヤ」4階に長期ポップアップで出ています。服、靴、バッグのカテゴリーミックスの売場ということで、ありがたいことに業界の方から注目されているようです。
当社は小売りのノウハウを持っているわけではありませんが、「商品をどのようにお客様に届けるか」というところは、トライを重ねて一歩ずつ前進していきたいです。

カテゴリーミックスのコンセプトストア「DEPA_(デパ)」
――最後に、あらためてメッセージをお願いします。
何が正解か分からない時代ではありますが、社員一人一人も、業績のためにベストを尽くして行動してくれています。当社は今年3月で創業87年を迎えており、100周年やその先まで会社を続けられるよう、つなげていくのが私の役目だと感じています。
(聞き手:都築いづみ)