三陽商会、今夏はエントリープライスを強化 約2割下げ‟値ごろ感”訴求
機能性の中に「エレガント」「きちんと感」を入れることで、市場での差異化を図る
三陽商会は今夏、気候変動に対応した商品展開を強化する。昨年の反省を生かし、中軽衣料の生産増加、ビジネスシーン向け高機能アイテムの拡充、裾値の引き下げなどを行う。8~9月は「気温対応夏物」と「早期秋物需要」の2軸に照準を当てる。
月ごとの特性に合わせた商品展開に
同社は夏の長期化を受け、シーズンを「春、初夏・盛夏、猛暑、秋、冬」の5つに分ける商品計画「五季」を2024年にスタートした。導入2年目となった25年は3~5月の売上高は前年比94%、6~8月は前年並みだった。
加藤郁郎副社長執行役員は、「反省点は多々あり、月ごとの特性に応じた商品戦略の重要性を実感した」と話す。6月はプレセール時期に合わせた顧客向け商品と新客向けのエントリー価格の商品、7月はクリアランスセールに合わせた価格競争力のある商品、8月は早期秋物需要への対応も必要だと分かったという。
「クリアランスの時期はセール品と比較するお客様もいるため、通常価格だと7~8月は戦えない。他方で8~9月は、ファッションに敏感な方が新しいものを見に来るため、新しいトレンドの秋物を展開することも必要になる」(加藤副社長)。そこで、夏物商材の裾値を平均で約20%引き下げ、値ごろ感を打ち出すことで、新客の獲得とプロパー販売比率向上を目指す。
例えば「ポール・スチュアート」(紳士)では、これまで1万円を下回ることがなかった「ドレスTシャツ」を9900円で展開。ジャケットは通常5万円以上となるところを、3万6000円の商品を投入し、新客の購買を促進する。
シアー素材やメッシュ素材、雑貨を強化
暑く長い夏への対応として、暑さ、紫外線、汗、臭いなどを対策する機能性に優れた商品を拡充する。ただし実用性を重視しながらもファッション性を損なわない商品を開発し、市場での差異化を図る。
6~8月の商品構成の約5割を占めるカットソーとニットは、生産数を前年より10%増やし、ウィメンズは透け感のあるシアー素材やメッシュ素材の商品を強化。メンズは「ドレスTシャツ」「ドレスニット」を前年比45%増とする。
ビジネス向け商品は、シアー素材のジャケットを全体で10%増産。ウィメンズでは、新定番と目する「半袖ジャケット」を9割増と大幅に増産する。また、気温の変化に左右されにくい雑貨も強化する方針で、雑貨全体で前年より30%増。昨年好調だったメンズ向け日傘は、120%増とする。
8~9月は早期秋物を充実
8~9月は、昨年8月の売上高が前年比112%と好調だったのに対し、9月が92%と苦戦した経験を踏まえ、「気温に合った夏物」と「早期秋物需要」の2軸で商品を展開。前者は9~10月まで着用可能な「秋色×夏素材」や「秋素材×夏デザイン」の商品で、夏物セール品との差異化を図る。幅広い気温下で着用しやすい七分袖、八分袖のトップスも拡充する。
後者の早期秋物としては、羽織りものを中心に、レザーやファー素材のアウターなどを展開。一部ブランドではコートの早期オーダーも行う。ウォッシャブルでシーズンレスな素材のニットやファー雑貨など、気温に左右されずに秋の季節感を取り入れられる商品は昨年より前倒しで投入する。
(都築いづみ)