アラ商事、来春夏企画でネッカチーフやストールの拡販に本腰

2021/11/18 12:00 am

タグ: アラ商事 

アラ商事は来春夏、ネッカチーフやストールの拡販に本腰を入れる。クールビズが定着し、コロナ禍におけるリモートワークも浸透しつつあり、スーツや“ジャケパン”にネクタイを合わせる従来の提案が難しい中、百貨店の売場でのビジュアルプレゼンテーションは、いわゆる「ビズポロ」やTシャツにネッカチーフやストールを合わせたコーディネートに軸足を移す。百貨店の売場では、シャツメーカーの山喜との協業も開始。ドレスシャツとネクタイの売場が隣接する、あるいはドレスシャツとネクタイの担当者が同じ百貨店は多く、3者でVPを手掛けて拡販に結び付ける。ネクタイへの逆風は続くが、発想や手法を変えて、アラ商事はそれを跳ね除ける。

VPもネクタイからネックウェアに変更

ネッカチーフやストールは、オリジナルブランドの「アールダム」と「フォスカ」で新規と既存を合わせて25種類ほどの柄を用意。アールダムのネッカチーフ「ティーニー」は新規に3柄を加えて12種類を、フォスカは触ると冷たい生地を使った「クールストール」や冷却ジェルを入れられるスペースを備えたストールなど13種類を、それぞれ展開する。価格はティーニーが8000円、フォスカが5000~6000円。

メンズだけでなく、レディスのストール「ハリクリ」と一緒に打ち出すなど、性別を超えた販売にも力を注ぐ。近年は百貨店も男女一体型の売場やショップを増やしており、新たな商機と捉え、今秋冬から一部の売場で取り組む。

奥平有臣戦略部課長は「ネッカチーフやストールの売上げはネクタイに比べてまだまだ小さいが、街中やセレクトショップ、芸能界などではネッカチーフが目に付く。1970年代をはじめとするレトロブームも追い風」と期待を寄せる。

ただ、主力であるネクタイを軽視するわけではない。イタリア・ミラノで開かれる国際的な織物や生地の見本市「ミラノ・ウニカ」の情報やネクタイの売れ筋の変化を、来春夏企画に落とし込んだ。

「アールダム」はトレンドカラーのブルー系を強化。数年来のビッグシルエットやオーバーサイズのトレンドの“終焉”を予想し、マイクロパターンの柄も増やす

アールダムでは、トレンドカラーのブルー系を強化。メインは、グレイッシュなネイビーを経糸に使いつつ、緯糸に高品質な「ブラタク糸」を施し、明るいイメージを演出する「フレンチブルー」(8柄、1万円)だ。トレンドでは、数年来のビッグシルエットやオーバーサイズの“終焉”を予想し、マイクロパターンも増やす。

グレイッシュなネイビーを経糸に使いつつ、緯糸に高品質な「ブラタク糸」を施し、明るいイメージを演出する「フレンチブルー」

今年、売れ行きが良いラッキーモチーフも拡充する。奥平氏は「一般的なネクタイのモチーフ柄はトラッドに仕上げるが、アールダムのラッキーモチーフは現代っぽさ、メランジ風、光沢感が備わり、すっきりとした単色系。市場に少なく、思いのほか売れている」と手応えを実感。新たに「亀」や「兎」、「青い鳥」、「てんとう虫」を追加する。価格は全て1万円。

“春夏らしさ”も追求。伝統的な紗織りをネクタイの一部に採用し、涼しさが漂う「Small Garza(スモール ガルザ)」(4柄、1万円)が新規に登場する。

5000~7000円という手を伸ばしやすい価格帯と多彩なバリエーションで支持されるフォスカは、人気の「ウォッシャブル」(2柄、7000円)や「SAKURA」(5柄、7000円)、「モチーフ」(9柄、5000円)、新規の「デニムライク」(4柄、7000円)などで構成。デニムライクは、ビジネスシーンでのデニムスタイルの普及に合わせた。ネクタイの裏側にステッチを効かせてあり、芸が細かい。

「フォスカ」は5000円~7000円と値頃ながら、多彩なバリエーションが若年層に支持されている

来春夏は贈答需要の取り込みにもアクセルを踏む。コロナ禍が一段落すれば、コミュニケーションの大切さも再認識され、ひいては贈答需要が増えるからだ。アールダムやフォスカ、「CK カルバン・クライン」、「ダックス」で、会話が弾むようなギフトを取り揃える。

同業他社に手薄なギフトボックスを強化し、贈答需要を取り込む

例えばアールダムでは、バラ柄のネクタイと専用のミニハンガー、ボックスをセット(1万2000円)。フォスカでは、ネクタイとポケットチーフで5000円のギフトボックスを扱う。CK カルバン・クラインは、ブランドのロゴでスマイリーフェイスを描いた柄、あるいはハート柄のネクタイとハンカチまたはネッカチーフ、ボックスのセットを1万円で、ダックスはネクタイとハンカチの組み合わせを同じく1万円で、それぞれ販売する。CK カルバン・クラインやダックスは、他のバリエーションも用意。同業他社はギフトボックスを集約化するが、アラ商事はむしろ充実させ、贈答需要を囲い込む。

ネクタイの春夏商戦の“天敵”はクールビズだ。そこで、ワンタッチで取り外しが自在な「スナップタイ」をPRする。

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急な来客や会議でネクタイを身に付けなければならない時に便利で、売上げは順調。インターネット通販でもリピーターが増えており、来春夏企画ではネクタイの売れ筋であるネイビー系の色を中心に品揃えを拡充させた。奥平氏は「若年層は、まだまだ存在を知らない。もっとPRすれば売れるのではないか。ネクタイの売上げが落ちる時期に、便利なモノとして大々的に訴求する」と意気込む。

注)当記事は11月18日の15時44分に再編集しました

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