日清オイリオ、歳暮ギフトは包装変更やラインナップ見直しでコスト対策
2025/11/12 12:00 am
日清オイリオグループは今年の歳暮商戦、包装形態の変更などによって小売業のコスト削減対策を講じる。原料価格だけでなく資材や配送料、人件費などあらゆる経費が値上がりし、もはやどの企業も対策は欠かせない。しかしギフトはあらかじめ予算が決まっていることが多く、価格に転嫁するのは難しい。そこで商品ラインナップを見直したり、配送料が抑えられるパッケージに変えたりといった工夫を積み重ねている。
「日常使いする」「日持ちする」で選ばれるギフトに
矢野経済研究所によると国内ギフト市場規模は、小売金額ベースで24年が推計11兆1880億円(前年比2.7%増)、25年が11兆3510億円(1.5%増)と増加が続く。ただし贈るオケージョンや商品の多様化が進み、フォーマルギフトと呼ばれる中元・歳暮の市場規模は縮小傾向にある。高齢化が進み、贈答を止める人も増えている。
とはいえ今でも中元、歳暮市場はそれぞれ数千億円の規模を維持している。食用油は店頭価格の変動などにより売上げに波があるが、生活必需品であるため、需要は底堅い。日清オイリオグループの調査では、「生活で使うものであるため、贈り先からリクエストされる」「日持ちする」といった理由から選ばれ続けている。
今夏まではコメの価格が上がり品薄と買い占めが発生する「令和の米騒動」があり、家計の節約志向が高まった。今は深刻な供給不足は解消され、一旦落ち着きを見せている。食品事業本部ホームユース事業戦略部ギフト課長の藤野英夫氏は「コメ不足も一段落し、通常の歳暮商戦に戻るのでは」と予測を立てる。
2段重ねの箱で宅配便サイズを1ランク下に
主力商品の1つである「ボスコ&オリーバ デ オイリオ エキストラバージンオリーブオイルギフト」
今年の商品ラインナップは、オリーブオイルの詰め合わせやヘルシーオイルの詰め合わせ、バラエティギフトセットなど。前年までと比べて大きな変化はないが、一部に手を加えた。人件費や紙代などセットアップのコストが上昇したため、「日清バラエティオイルギフト」 OVシリーズは1000円(税抜き、以下同)、1500円を終売して縦型ギフトに衣替えし、今シーズンは2000円~5000円の5品目を揃える。
中元・歳暮は3000~5000円が中心価格帯となるため、大きな支障はないと判断した。カタログのページ数やギフトセンターの売場展開を縮小する企業もあり、カタログ掲載数が減っていることも要因にある。簡易箱に入っている日清バラエティオイルギフト TOVシリーズで1000円、1500円を展開し、カジュアルな需要にも対応してく。
なお日清バラエティオイルギフト OVシリーズの2500円と3000円は、これまでのプラスチックトレーから紙仕切に変更。環境への負荷を軽減するパッケージに刷新した。
配送料削減のため、一部商品は2段重ねの箱に変更した
配送料への対策としては、「日清こめ油&ヘルシーオイルギフト」と「日清ヘルシーオイルギフト」の3000円と5000円の商品形態を変更した。これまで横長の1段箱だったが、2段重ねの箱を採用。これによって宅配便サイズが小さくなり、配送料の削減につながる。
ギフトセンターでは消費者が支払う配送料は一律だが、配送業者に支払う小売店の負担が減る。宅配便は1サイズ上がるごとに300円前後上がるため、影響は大きい。藤野氏は「流通の皆様に当社を選んでいただくため、様々な角度からメリットを追求している」と述べる。
別方面の懸念としてあるのが、物流システムのセキュリティだ。最近では9月末からアサヒグループホールディングスがランサムウエアの攻撃を受け、システムに障害が発生。流通が混乱し、歳暮商戦にも影響が出る事態となった。通販大手のアスクルも10月にサイバー攻撃を受け、同社に流通を委託している企業も含めて通信販売に支障が出ている。
日清オイリオグループもこうしたケースを踏まえ、様々なシステムの安全性の確認を行ったという。通信や物流にも気を配りながら、今年の歳暮商戦に臨む。
(都築いづみ)