オンワード、SC向け新ブランド「ANY」 初の価格訴求型
2025/08/12 4:07 pm
オンワード樫山は今秋、SC向け新ブランド「ANY(エニィ)」の展開を始める。既存のレディス&キッズブランド「anyFAM」とレディスブランド「anySis」の2つをANYに統合。その下のレーベルとしてレディス向けの「ANY」と「ANY SIS」、キッズ向けの「ANY KIDS」を置く。ANYレーベルの中心価格帯は4000円台に設定し、コストパフォーマンスを武器に訴求していく。
ブランドコンセプトは「手の届く、高品質を、この価格で。」。手に取りやすい価格でありながら、オンワードならではの高い生産技術があることを強みとする。越智大輔執行役員は「当社が98年ビジネスを展開してきた中で、価格を宣言してコミュニケーションを取るブランドはおそらく初」と語る。
カジュアル、オフィス、キッズの3レーベルに再編
オフィス向けエレガンススタイルの「ANY SIS」
ANYはお出掛けにも使えるカジュアルスタイルを基本とし、中心価格帯はトップスが2990円~、ボトムスが4990円~。ANY SISはコンセプトが「高品質なエレガントを、この価格で。」で、仕事向けの華やかなスタイルを強みとする。ANY SISの中心価格帯はトップスが5990円~、ボトムズが8990円~とANYよりはやや高い。
ANY KIDSはコンセプトが「かわいさと、使いやすさを、この価格で。」で、中心価格帯はトップスが1990円~、ボトムスが3500円~。サンリオの「ハローキティ」や「バービー人形」など、人気キャラクターとのコラボレーションも積極的に行う。
可愛さとリーズナブルを両立させる「ANY KIDS」
プロダクトアウトからマーケットインにシフト
従来と大きく変えたは、商品企画の手法だ。これまではファッショントレンドを踏まえたスタイリングやデザインを考案し、そこから販促を企画する、プロダクトアウト型で進めてきた。しかしANYでは、まずマーケティングを先行し、「この時期に、この価格帯で、こんなアイテムがほしい」という市場ニーズに合わせて商品開発や販促を考える。いわゆるマーケットイン型に切り替えた。
そのため、店頭ではアイテムごとのプライス表示に「つかえる〇〇(商品名)」と表記する。さらに「つかえる理由」と題し、3つの使える理由も記載し、商品の利便性や拡張性を分かりやすく訴求する。
商品ごとに3つの使える理由も記載する
主な販路はオンワードグループのセレクトショップ「オンワードクローゼットセレクト」や公式ECサイト「オンワードクローゼット」。anyFAMとanySisを展開していた売場を9月から順次、ANYに入れ替える。第三カンパニーANY Div.佐藤圭課長は「現在オンワードクローゼットセレクトは200超あり、ANYを展開する店舗は100以上となる」と説明する。ANYのみを扱う直営店の出店も来春以降計画する。
価格帯が低い分、「ターゲットはなるべく幅広く、マスを狙う。これまで取り切れなかった層も開拓したい」(佐藤氏)。公式サイトやSNSアカウントも刷新し、デジタルコミュニケーションも活性化していく。
(都築いづみ)