メリーチョコレートカムパニー、焼菓子で中元商戦に攻勢

2020/06/29 12:00 am

焼菓子で新たな商機を掴む――。メリーチョコレートカムパニーは、中元商戦に向けて、焼菓子とゼリー、プリンを詰め合わせた「デザートパラダイス」を投入した。メリーチョコレートカムパニーが焼菓子のセットを夏に出すのは珍しいという。数年来、売上げが伸びている焼菓子と夏の定番であるゼリー、プリンを1箱で楽しめるギフトを新たに打ち出し、購買意欲を喚起する。

メリーチョコレートカムパニーの長年の〝夏の看板〟はゼリーだったが、昨年の中元商戦では気温が上がらず、需要は伸び悩んだ。

一般的に、ゼリーをはじめとする「クールデザート」は猛暑に強く、冷夏に弱い。マーケティング本部では「天候を読むのは難しく、夏場は冷房が利いた部屋で過ごす人が大半。今季は、天候に左右されず好調な焼菓子を訴求し、中元やパーソナルなギフトの拡販に繋げる」と判断。メリーチョコレートカムパニーの焼菓子では、フランスの政府が高度な技術を伝承していける職人に認定する「MOF(Meilleur Ouvrier de France)を受賞した、ブルーノル・デルフ氏が監修するブランド「サヴール ド メリー」が人気で、そのクッキーと中元商戦の中核を担う「国産果実の果樹園倶楽部」のゼリー、素材の味が引き立つ繊細で滑らかな食感の「北海道産牛乳のなめらかプディング」を組み合わせ、戦略商品として展開する。

新しいセットの名称は、デザートパラダイス。11個入り、18個入り、22個入りの3種類を用意した。例えば11個入りは、国産果実の果樹園倶楽部が2個(白桃、洋梨が各1個)、北海道カスタードプディングが3個、サヴール ド メリーが6枚(バター、ココア&バター、チョコレートチップが各2枚)で構成する。3種類の価格は2000円、2500円、3000円に抑え、帰省土産需要なども取り込む。

人気の焼菓子とゼリー、プリンを詰め合わせた「デザートパラダイス」

中元商戦では、良質で香り高い国産の果物にこだわったゼリーを詰め合わせた国産果実の果樹園倶楽部、フルーツゼリーを宝石のようにカッティングした「ビジュ ド メリー」、3種類のゼリーとプリンを詰め合わせた「デザートコレクション」、リーフパイとクッキーをセットにしたサヴール ド メリー、ケーキとガトーショコラを組み合わせた「サヴール ド メリー ガトー」、イタリア産の栗をじっくりと糖蜜に漬け込んだ「マロングラッセ」などもラインナップ。今年は猛暑が予想されており、特に「夏季限定商品に期待したい」(小林香マーケティング本部広報宣伝部部長)という。

夏の定番、「国産果実の果樹園倶楽部」

中元商戦には追い風も吹く。コロナ禍で帰省を回避する人が増え、「せめてギフトを贈ろう」という志向が強まりそうだからだ。小林さんは「外出の自粛、帰省の回避で『配送』が注目されつつある。それを商機にしていく」と意欲を燃やす。

配送は中元商戦だけではない。インターネット通販にも伸び代がある。実際、新型コロナウイルスの感染が拡大し、外出の自粛を求められる中で、インターネット通販サイトで期間限定販売したチョコレートの詰め合わせ「メリースイーツボックス」は、第1弾と第2弾が早々に払底した。小林さんは「予想以上に売れ行きが良い」と驚くとともに、「いわゆる『自粛疲れ』から、インターネット通販サイトで食品を購入する人が増えた。メリースイーツボックスは6種類・10点、1万314円相当のチョコレートを6200円で買える値頃感と大容量が〝チョコの大人買い〟としてSNSなどで話題を呼び、『自宅で贅沢な時間を過ごしたい』という時流に即した需要にも適った」と勝因を分析する。

6月16日に第3弾の販売を始めたが、今後も「セゾン ド セツコ」ら別のブランドの商品を販売する、独自の商品を開発するなどで、自社や百貨店のネット通販サイトの品揃えを強化。勢いに弾みを付ける。

もちろん、リアル店舗の収益力の向上にも余念がない。4月には、チョコレートやチョコレート菓子、クッキー、ゼリーなどを気軽に楽しめる「チョイスイーツ」を導入。1袋・260円、4袋・1000円と値頃で、自宅用やオフィス用の需要を引き出す。

リアル店舗ではセゾン ド セツコや「ルル メリー」といったブランドも動きが良く、とりわけ前者は素材の良さ、後者は優れたデザイン性が高感度な女性に手土産として支持されている。

素材の良さが支持される「セゾン ド セツコ」の「季節のショコラ」

コロナ禍は予断を許さないが、チャンスを逃さず、攻めの姿勢で難局を乗り越える。

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