にんべん、320年で培っただしの魅力を全面に

2020/06/22 11:30 am

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「至福の一菜 惣菜詰合せ」は、本枯鰹節だしを効かせた惣菜6種類のセット

にんべんは今年の中元商戦で、定番の鰹節ギフト「鰹節フレッシュパックゴールド」を主軸に据えるとともに、好調のフリーズドライのみそ汁・吸い物や惣菜系も打ち出す。「至福の一椀 おみそ汁・お吸い物詰合せ」(以下、至福の一椀)、「至福の一菜 惣菜詰合せ」(以下、至福の一菜)は手間を掛けずにだしの効いた料理が食べられると人気で、ここ数年売上げが上り調子だ。今年はコロナ禍の影響は避けられないが、家で過ごす時間が増えるであろうことから需要はあると睨み、拡販に注力する。

 

至福の一椀は、「わかめのおみそ汁」、「豆腐・ねぎのおみそ汁」、「ふわっと玉子のお吸い物」など、全7種類の味を揃える。だしの風味を生かすフリーズドライ製法を採用し、具材と調味素材を別々に仕上げているので、素材本来の味を楽しめる。至福の一菜は「鶏肉とグリル野菜のトマト煮」、「牛すき豆腐」、「和風ロールキャベツ」など全6種類で、1袋1人前の個食対応で使い勝手が良い。

今年は新型コロナウイルスの感染拡大によって外出を避け家で過ごす時間が増えると予測し、百貨店各社は中元商戦で「巣ごもり消費」、「家ナカ時間の充実」をテーマに惣菜を始めとする食品を集めた特集を企画する。経営企画部商品サービスグループ次長の豊田義徳氏も、「そういったニーズの可能性はある」と分析。至福の一椀や至福の一菜を積極的に訴求し、購買意欲を喚起する。

 

「至福の一椀 おみそ汁・お吸い物詰合せ」は9個入、16個入、24個入などを揃える

汁物や惣菜が好調とはいえ、やはりギフトで一番の人気は鰹節フレッシュパックゴールドだ。鮮度の良い一本釣りのカツオを使用。時間をかけてじっくり熟成させた「本枯鰹節」を、血合い部分を一本一本丁寧に取り除き、独自のハイソフト製法で削り上げた。鰹節本来の香りと旨味に加え、血合いを取り除いたことによる美しさも楽しめる。糸状に削った「糸削り」と薄く削った「ソフト削り」の2種類を詰め合わせる。

鰹節フレッシュパックゴールドの人気の秘訣は、商品の魅力だけでなく、ビジュアルの改良を続けていることにもある。ここ数年で、小袋のパッケージは内部の商品が見やすくなるように調整したり、ディスプレイ時を想定して化粧箱のロゴの位置を変えるなどしてきた。化粧箱の素材も、コスト面を考え変更した。

あまり大規模な変更をしない理由は、客が安心感を求めるからだという。鰹節を祖業とするにんべんは昨年3月で320周年を迎えるなど歴史は長く、商品の知名度も高い。「昔から知っているあの商品」を求める客の離反が起きないよう配慮しながら、こまめにブラッシュアップを繰り返す。

 

「鰹節フレッシュパックゴールド」は見た目が美しく、トッピングにも適している

中元商戦で好結果を収めるためには、日頃の接点が重要だ。ギフトを選ぶ際には、なじみ深い商品、ブランドに手を伸ばす。にんべんは近年、直営の新事業を積極的に広げるなど、認知度や接点の向上に余念がない。2010年10月にだしを使ったメニューが提供される直営店「日本橋だし場」を東京・日本橋エリアにオープンしたのを皮切りに、初の飲食業態「日本橋だし場 はなれ」(14年3月)、その場でドリップしたかつお節だしやスムージーが味わえる「日本橋だし場 Drip」(18年11月)、弁当専門店「日本橋だし場  OBENTO」(19年3月)など様々な新業態を展開。今年6月18日には総菜専門店の「一汁旬菜 日本橋だし場」を神奈川県横浜市の「CIAL横浜」に開いたばかりだ。

こうした展開は「あらゆる『食』のシーンでかつお節やだしを提案したい」という髙津伊兵衛社長の想いがあるという。模索を続ける段階ではあるが試みは実りつつあり、最近では「以前より若年層が増えてきた」(豊田氏)。

 

また、別々のシリーズだった商品を最上位シリーズの「NIHONBASHI」に集約して刷新し、高級感のあるパッケージで統一性を持たせるなど、ブランディングを強化している。にんべんが長年続ける「かつお節」の魅力を様々な方法で引き出し、中元商戦に臨む。

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