サステナブルブランド「エコアルフ」のスニーカーが好調、靴売場で存在感

2026/07/02 12:00 am

三陽商会が、スペイン発のサステナブルファッションブランド「ECOALF(エコアルフ)」を日本で展開し始めて6年。当初は服・雑貨・スニーカーを組み合わせた複合型の大型出店を志向していたが、ここ1年で戦略を大きく転換し、靴売場での単体出店に力を入れている。背景には、スニーカーカテゴリーの好調がある。

2020年3月にブランドデビューも、コロナ禍で出店がストップ

日本展開開始から携わっている、三陽商会事業統轄本部事業本部コーポレートビジネス部エコアルフ課長の下川雅敏氏

エコアルフは2009年、スペインの実業家であるハビエル・ゴジェネーチェ氏が、自身の子供の誕生をきっかけに立ち上げたブランド。全ての商品において、リサイクル素材や環境負荷の低い素材を採用している。日本では、三陽商会とスペイン本社の合弁会社「ECOALF JAPAN」のライセンス管理のもと、三陽商会が展開を主導する。商品はスペイン本国がプロデュースしたものが約7割で、3割程度は日本で企画や製造を手掛けている。

日本展開は、20年3月に直営の旗艦店をオープンする形でスタートした。しかしコロナ禍の本格化と重なり、当初描いていた出店計画は一度ストップとなった。さらに、同ブランドはユニセックスで、ウエアから雑貨、スニーカーまで揃える。そのため大きな区画を前提にした出店を目指していたが、ブランド認知度が十分でなかったこともあり、構想通りに進まなかった。

三陽商会事業統轄本部事業本部コーポレートビジネス部エコアルフ課長の下川雅敏氏は、「当時は‟サステナブルファッション”に対する注目が高まっていた反面、浸透まではしていなかった。どうしたらお客様に届くか、思うようなパフォーマンスができるか、模索の時期が続いた」と述べる。

ブランド思想だけでなく、デザインや実用性も評価

サステナビリティだけでなく、スペインらしいデザインも魅力の1つ

徐々に百貨店への出店を拡大する中で手応えを得たのが、スニーカーカテゴリーだ。百貨店内の靴売場は比較的低層階に位置し、客層も幅広く、トラフィックも多い。ウエアと異なり靴は素材表記の義務が限定的であることもあり、自分の履いている靴の素材を知らず、エコアルフの「リサイクル素材を使う」ストーリーが新鮮に響く客は少なくないという。

また、サステナビリティだけでなく、デザインや実用性が特に評価された。エコアルフはスペインらしい色使いやデザインが特徴で、店頭で独自の存在感を発揮し、手に取るきっかけとなっている。柔らかさや軽さも本国の企画チームがこだわっているポイントで、「他ブランドと異なる独自の魅力として、百貨店バイヤーの方にも評価していただいた」(下川氏)。

ソーシャルグッドなコンセプトのブランドであっても、商品そのものが評価されなければ、継続的なビジネスは難しい。同様のブランドは年々増えている中で、差異化も必須となる。下川氏は「商品軸で入ってくるお客様が増えたことは良いこと」と語る。

スニーカーの単体出店を強化、インバウンド需要も

大丸京都店に開いたスニーカーメインのショップの1号店

こうした反応を受け、昨年から戦略を転換。出店に関しては、ウエアとの複合店中心から、靴売場への靴単体での出店強化へとシフトした。今年1月には、大丸京都店3階に誕生した婦人靴売場「烏丸シューズテラス」にショップを出し、スニーカーメインのショップの1号店となった。

伊勢丹新宿本店では4月~7月の4カ月間、本館2階の婦人靴売場でトライアルとして実施。中でも、イベントスペース「スニーカープロモーション」で2週間行ったポップアップは計画値を大きく上回った。そのほか夏から秋に掛けて、2つの商業施設で靴を中心とした常設ショップを開く予定となっている。

同ブランドの客層は国内客が中心だが、インバウンド需要も一定数ある。場所によって差はあるが、特に銀座や渋谷で展開する際には半数程度をインバウンド客が占める。中でも欧州やシンガポール、香港からの客は本国でエコアルフを知っているケースが多く、日本限定モデルへの反応も良い。

そこでMD面では、日本限定商品の開発を強化。今年2月には、完全な日本限定のスニーカーモデルとした「ミカ」を発売。オーセンティックなフォルムに、ブロッキングとステッチワークを効かせたデザインで、軽量感と耐久性、リュクス感を追求した。現在はベストセラーとなり、「日本のマーケットトレンドを取り入れたアイテムのニーズを実感した」(下川氏)。

スニーカーを核とした出店強化はブランドの認知拡大の一環でもあり、将来的には服を含めた複合的なライフスタイル提案へとつなげていく考えだ。百貨店業界では、従来の商品分類を超えたライフスタイル型売場の構想が様々な店舗で出ており、エコアルフの複合店が出店できる可能性も広がってきた。スニーカーという新たな接点を起点に、次の展開を見据えている。

(都築いづみ)

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