三陽商会の「ポール・スチュアート」、ゴルフライン単独店をオープン 3年後に20店へ

2026/09/24 12:00 am

三陽商会の「ポール・スチュアート」は1日、ゴルフライン「ポール・スチュアート ゴルフ」の初の単独常設店を松屋銀座6階に開いた。これまではポール・スチュアートのショップ内で展開していたが、独立した売場を設けることで、新客との接点を広げる。ブランド内ショップを含めると6店目。今後はさらに出店を進め、3年後に20店を目指す。

既存顧客向けとして開始、「シックな大人向け」で人気に

ポール・スチュアート ゴルフは2022年秋にスタートした。当時は新型コロナウイルス禍の影響でゴルフ人気が高く、加えてポール・スチュアートの顧客にはゴルフを趣味とする人が多いため、伸びしろを感じたという。

ゴルフラインの立ち上げで意識したのは、ブランドの既存顧客を起点にした商品づくりだった。ポール・スチュアートで紳士服を担当する企画課長の村山賢伍氏は「名門ゴルフ場などでプレーするエグゼクティブ層を想定した。ゴルフ場には柄やロゴなどの装いに一定の制約がある場合もあり、誰とプレーしても恥ずかしくない服の需要があると考えた」と話す。

そのため、鮮やかなスポーツカラーではなく、得意とするグレイッシュな大人の色使いを基調に据えた。テーラリングで培ったパターン技術を応用し、スイングや歩行といった動きに対応する立体的な設計も取り入れた。当時の市場には少なかった「シックで大人向けのゴルフウエア」であったため、顧客からは「ありそうでなかった」という反応が寄せられ、売上げも徐々に伸長した。

村山賢伍氏。紳士「ポール・スチュアート」を長らく担当している

ゴルフゾーンへの出店でゴルファーの新客を開拓

これまでは東京・青山のブランド旗艦店や百貨店のブランドショップ内で展開していたが、9月1日に初の単独店を松屋銀座に開いた。商品構成はメンズ60%、ウィメンズ30%、バッグやキャップなどの雑貨10%。今までできていなかったフルラインナップを実現した。

松屋銀座ではこれまで計6回ポップアップショップを開催しており、その実績が常設店化につながった。同店にはポール・スチュアートが主要顧客と位置付ける、都会で働くエグゼクティブ層や本物志向の客が多く、親和性が高いとみる。

ショップを構えたのは、スポーツ売場内のゴルフブランドが並ぶゾーンだ。これまでは「ブランドの顧客でゴルフをする人」をターゲットとしていたが、「今度は逆に、ゴルファーの方にポール・スチュアートを認知していただくフェーズに入った」(村山氏)。ゴルフラインの認知度がまだ低いこともあり、新客獲得と認知度向上の拠点にしていく構えだ。

男性偏重が課題、デザイン体制見直しと併せて女性向け訴求を強化

統一感のあるコーディネートを夫婦やカップル向けに提案する

女性客を増やす狙いもある。ゴルフ市場全体では男女比がほぼ半々とみられるのに対し、ポール・スチュアート ゴルフの売上げ構成は現在、メンズが約8割、ウィメンズが約2割と男性に偏っている。村山氏は要因として「これまでの商品開発は男性が中心だった。どうしても男性の視点が強く、ウィメンズの素材選びやシルエット、丈感などに課題があった」と指摘する。

そこで今秋冬シーズンから、デザイン体制を見直し、女性デザイナーを起用。自身もゴルフをする女性デザイナーが、ウィメンズを含めてゴルフライン全体を担当する体制となった。デザイナー自身が試着しながら設計することで、シルエットや着心地が以前より向上した。

ちょうど同タイミングでオープンとなった常設店は、メンズとウィメンズの両方を揃えることが強みとなる。同じ生地や柄を使いながらデザインを変えるなど、男女でリンクさせた商品が多く、夫婦やカップルが楽しめる装いも提案する。従来の百貨店内展開では紳士服売場が中心だったため、女性客との接点を増やす場として期待する。

26年AWコレクションのルック。新デザイナーを起用し、ウィメンズを強化していく

ゴルフ前後も含め、トータルで「ポール・スチュアート」を提案

今後も新規出店を進める意向で、3年後に約20店舗を目指す。百貨店のインショップ、百貨店ECサイトに加え、名門ゴルフクラブなどへの卸売りも進める。将来的にはプロゴルファーへの衣装提供や、ブランド冠のゴルフコンペなども視野に入れる。

ゴルフ場で商品を見た客が、「もっと商品を見たい」と百貨店の売場を訪れる事例もすでに生まれているという。「名門ゴルフ場に行く時のジャケット着用義務や、プレー後の会食など、ゴルフ前後のシーンでポール・スチュアート本体の需要がある」(村山氏)。ゆくゆくは、ゴルフ前後のシーンを含めたトータル提案にも力を入れる考えだ。

コロナ禍によるゴルフブームは一旦落ち着いたものの、今でもゴルフは趣味やビジネスコミュニケーション、交流の場として広く親しまれている。ゴルフラインとブランド本体がそれぞれ新客の開拓や相互送客を行うことで、ブランド全体の成長が期待できそうだ。

(都築いづみ)

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